2016年09月02日

『天使にラブソングを』感動のウーピー・ゴスペル映画/感想・あらすじ・解説

ゴスペルとは神の言葉
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評価:★★★★   4.0点

こういう映画を見ると、本当にハリウッド映画の底力を感じます。
エンターテーメント作品として完璧な映画だと、ため息が出る思いがします。


「天使にラブソングを」あらすじ

ドロレス(ウーピー・ゴールドバーグ)は、ネバダ州リノにあるカジノ「ムーンライトラウンジ」の歌手だった。彼女はカジノの経営者でマフィアのボスであもあるヴィンス(ハーヴェイ・カイテル)の愛人だった。しかしある日、妻と離婚するというヴィンスの言葉が信じられなくなったドロレスは、ヴィンスに別れを告げようと決意する。そして、ヴィンスの部屋の扉を開けたとき、裏切り者を殺害する現場を目撃し、ヴィンスから命を狙われる。警察に保護された彼女は、エディー・サウザー警部(ビル・ナン)により、ヴィンスの裁判の日までカトリック系の聖キャサリン修道院に身を潜める事になった。厳格な修道院長(マギー・スミス)とぶつかりながらも、聖歌隊の指揮者を任されて修道女のメアリー・パトリック(キャシー・ナジミー)メアリー・ロバート(ウェンディ・マッケナ)という友達もできる。そして、彼女の歌声は厳格な修道院を、徐々に開放的な場所に変えていく。しかし、そんな彼女の元に、ヴィンスの魔の手が忍び寄る・・・
(原題 Sister Act/1992年/エミール・アルドリーノ監督)


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『天使にラブソングを』感想・解説
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この映画は、ウーピー・ゴールドバーグのキャラクターと相まって、気取らず、元気で、前向きで、オープン・マインドの精神が画面に満ち溢れていて、見るだけでエネルギーを貰ったような気になります。
また、そのエネルギーが聖歌として響く時、思わず心が踊るのは、音楽の力が最大限発揮されているからだと感じます。
その後、舞台で「シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを〜」というミュージカル作品になったのも、この映画が音楽的な力を持っている事の証明ではないでしょうか。

しかし、音楽やダンスを題材にした場合大事なのが、そこに至るまでの「負の状態」の描き方だと思うのです。

この映画ではその「負」を、主人公がギャングの愛人で罪の場に立ち会う場面で、修道院に入るまでは「罪びと」として存在していたと語ります。
その彼女が厳しい修道院の生活によって更生した証として、美しい賛美歌に結実したという展開がベースにあると思います。
これは、キリスト教的な善導というストーリーであり、キリスト教徒であればハレル〜ヤ〜という所でしょう。

しかしこの修道院を良く見れば、ここにはもう一つ、主人公にとっての「負」があると思うのです。
この修道院で黒人女性はドロレスだけなのです。

つまりここは白人のための修道院であり、カトリック教会なのでしょう。
このドロレス以前の賛美歌聖歌隊が、ヨーロッパ由来の教会における伝統的「コーラス」です。


対して、ドロレスが指導した聖歌隊は黒人教会に特徴的な歌唱法「ゴスペル」だという事に気付きます。


つまりここで描かれたのは、堅苦しく言えば、白人的エスタブリシュメントに風穴を開け、変革する黒人マイノリティーの快挙を描いたと見ることもできると思うのです。

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関連レビュー:ゴスペルの誕生を語った映画
『アメイジング・グレース』
イギリス奴隷貿易の廃止の闘い
『アメイジング・グレース』名演紹介

つまりは、この映画は白人側から見れば、主人公という罪びとがキリスト教的に救われる姿に見えるはずであり、マイノリティー側から見れば堅苦しく取り澄ました白人支配者層を打破するヒロイン像ということになるのではないでしょうか・・・・・・・・・

後もう一つ、悪役のハーヴェイ・カイテルのキャラクターが絶妙だと感じました。
この悪人は殺人を犯しているにも関わらず、憎めない可愛げがある点は特筆すべきだと思います。
なぜなら、あまりに残虐非道であれば、物語は悪人を退治すべき方向に進み、決して単純な娯楽作にはして置かなかったでしょうし、逆に、あまりに間抜けすぎても物語の盛り上がりに欠けるでしょう。

そんな、物語の邪魔にならずに、ストーリーの核として存在するというのは、決して簡単なことではないと感じます。
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やはり、これはハーヴェイ・カイテルならではという気がします。
そういう点で言えば、修道院長のマギー・スミスもまさにはまり役ですし、この映画は脚本の微妙なニュアンスを、キャスティングでシッカリ補強している点が素晴らしいと思いました。

ま〜ゴチャゴチャいいましたが、結局音楽の力、ひいては神の力は偉大だということで!ハ〜レルヤ〜

『天使にラブソングを』より"I Will Follow Him"


ブロードウェイの「天使にラブソングを」より"Raise Your Voice"



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関連レビュー:傑作ブラックミュージック映画
『 ブルース・ブラザース』
ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイドの伝説の映画
ブルースの魅力満載!!




posted by ヒラヒ at 20:41| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おお~懐かしい(*‘∀‘)
名作ですよね~!あの音楽が忘れられません!
Posted by いごっそ612 at 2016年09月02日 20:57
>いごっそ612さん

ありがとうございます(^^)
沖縄旅行の件ちかぢかブログで見れますね。
楽しみにしています(^^)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月02日 21:20
おこんばんわ〜⤴大好きな映画です🎵ハーベイさんが悪役なの
はちょっと、ですが😓ウーピーさんでないと\(^_^)/
Posted by ともちん at 2016年09月02日 21:22
>ともちんさん
ありがとうございます。(^^)
ヤッパリ見ると元気になりますよね。
ハリウッドのエンターテーメント力が良く出ている気がします。
Posted by ヒラヒ・S at 2016年09月02日 22:43
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