<リアル鬼ごっこあらすじ>
女子高生のミツコ(トリンドル玲奈)が乗っていた修学旅行の観光バスの、上半分が突然切断され一人で逃げる。するといつの間にか女子高生の日常にもどりクラスメイトの女子と談笑していた。しかし、そこでも殺戮が始まり逃げると、いつの間にかケイコ(篠田麻里子)になっていて、今日結婚式だと言われウエディングドレスに着替えさせられ、豚の顔をした花婿と結婚させられそうになるが、戦って何とかその場から逃げる。しかしまた、いつのまにか女子高生で陸上部のいづみ(真野恵里菜)になって、マラソンに参加している。そこでも何者かに追われることになる・・・・・(日本/2015年/85分/監督園子温/アクション監督匠馬敏郎/脚本園子温/原作山田悠介)
評価:★★★ 3.0点
この映画には、こんなパンチラシーンが映画中にありますが、その趣旨を探ろうと言う企画です
この映画を見た主婦からの手紙(ウソ)
拝啓 園子温先生
華やぐ季節の候、ご健勝のこととお慶び申し上げます。
このたび貴映画を拝見いたしまして、眼福いたしました。まずは御礼申し上げます。
その中で、どうしてもお尋ねしたい疑問が生じましたもので、失礼ながら筆を取ったしだいです。
まずは誤解があるようですと申し訳ありませんので、お話を確認させていただきたく存じます。
女子高生の ミツコ(トリンドル玲奈)が修学旅行のバスに乗っているとき、突然他の生徒達が体を真っ二つにされて殺されるシーンから始まりました。
このシーンは切断された体から血が噴出する、誠に、凄惨な、残酷な、シーンでございました。
ミツコは必死に、自分を追いかけてくる何者かから逃げ、それは誠に、苦しげで、その疲労困憊する姿は、見ていてセツナクナル走りでございました。
その走り逃げる途中にも、制服姿の女子高生の集団惨殺死体が描かれておりました。
しかしミツコが走っているうちにいつの間にか、普通の登校シーンに場面が切り替わり、友達と話す姿が描かれます。
そして、授業をエスケープして友達と過ごすシーンでは「この世はシュールなんだ」「シュールに負けるな」という、印象深いお言葉もございました。
そして学校に戻ったミツコ達を待っていたのは、女教師の容赦ない生徒の殺戮でした。
ここでも、血と、体の、破片が飛び散るような、激しい、虐殺の光景が繰り広げられます。
そして、はしって逃げるうちにいつの間にかミツコは、 ケイコ(篠田麻里子)という挙式間近の25歳の女性になりそこでも血みどろの戦いが始まり、そこから逃げても、次はいずみ(真野恵里菜)という女子高生のマラソンランナーに変わり、そこでも追いかけられる事になります。
そして最後まで見終わったときに、愚かな私めにも、なるほどそのような事情がお有りになったのかと理解はできました・・・・・
しかし、正直申しまして、この余りにも激しい暴力シーンの連続に、なぜこれほど血が流れ、肉体が傷つき、多くの死が描かれなければならなかったのか、いまひとつ腑に落ちませんでした。
また、女の身の私からいたしますと、この女子高生達の短いスカートから下着が覗くのが、はしたなくも気になったしだいです。
これらの、激しい暴力シーンと、扇情的なハレンチさが、映画の全編を覆っておりまして、正直その意図を測りかねております。
夫に言わせますと、これは商業主義で、エロとグロを描けば売れるからに決まっている、そんな事も分からないから馬鹿だと言われるのだと、私を激しく叱責し、あまつさえ酔って私に手を上げる始末でございます。
さらに夫は、トリンドル玲奈ちゃんのパンツや下着のシーンを見ながら、下卑た笑いを浮かべるおぞましい品性の人間です。
実を言えば、ポッケットから『女子高生キャバクラ』なるチラシが出てきたこともございました。
それはともかく、本当に園子温先生は、この主人の申すように「エロとグロが儲かる」と思いこの映画をお作りになったのですか・・・・・・私は先生が、私の下種な主人と同じような考えをお持ちだとはとても思えないのです。
それゆえ、この映画の「エロとグロ」の意味を、ぜひ、お教えいただけないかとお願いするしだいです。
正直申しまして、私はこんな主人と一緒に生活する自信が、もうございません。
私は離婚すべきでしょうか・・・・合わせてご意見をちょうだい願えればと存じます。
御許へ
一映画ファンより

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主婦からの手紙に対する園子温監督の返信(ウソ)
一映画ファン殿
前略。
すぐ、別れなさい。
そんなダンナと一緒にいてシアワセなわけないでしょ。
失礼だけど、あなたは不幸よりも自分の苦労が嫌なだけだとしか思えない。
そんな事してると、ますます不幸になって、最後は自殺しちゃうよ!
この映画は、あんたみたいな、男達に虐げれている女達の物語なんです。
男達のせいで、女達、特に10代の女の子達が、どれほど苦しめられているか考えてみなさい。
この映画で、血を流し、傷つけられ、殺されるのが、全部女なのは、それは男達の欲望の犠牲になっている姿の象徴だから。
この映画のグロとエロは、男達の欲望の強さゆえに、過激になったんです。
全ての虐げられた女達にとって、「この世はシュール」だからこそ、「シュールに負けるな」とエールを送ってるんです。
だから、悪いことは言わない、この映画の真価が分かったあなたなら「あなたの現実」を生きられます。
一刻も早い決断を。
早々
園子温 拝

以上の手紙は全てフィクションです。
この映画は、基本的に女子高生に代表される「女性ジェンダー」の受難を描いた映画だと感じます。
しかしその点が、グロが扇情的過ぎる表現で突出してしまい、「テーマ性」を越えた強さを持ってしまったがゆえに、作品としての集中力が希薄になっていると感じたので、★3としました。

当ブログ園子温監督作品レビューリンク
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ありがとうございますm(__)m
エロはパンツが見えるぐらいで・・・どっちかというとグロ路線です。ただチョット中途半端な感じがありまして・・・・ヒットまではどうでしょう?
ま〜園子温監督だから見たんですが(^^;
園子温が『リアル鬼ごっこ』の原作を読まずにオリジナルでやっちゃった〜って作品です。
園子温ファンでしたが、ここ最近の作品はちょっとな〜(^^;
有難うございます。ショ〜ジキ、最近、園子温監督は混乱しているような印象を受けますね。
商業的な成功と作家性の追求の間で、まだ方向を定めかねているように感じます。
でも、日本の映画監督は、常に「作家と商売の狭間」でウロウロしなければ行けない運命にあるように思いますm(__)m