2016年07月06日

映画『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』米国スノビズム/あらすじ・解説・感想・ネタバレなし

ハリウッド・スターでなぜ悪い



評価:★★★    3.0点

この映画は、スターバックスのコーヒーと同様の評価のされ方を、アメリカ国内でされてるんじゃないかと感じました。

え〜っと、お聞き苦しければ謝罪しますが「スタバ」って「ヨーロッパ風のコーヒー」を飲んでる俺達ってクールだよねっていう、アメリカ人のカッコつけでしょ?
あのグランデやベンティってイタリア語らしいですよね?

この映画は、そ〜いうアメリカの「俗っぽさ=スノビズム」が見え隠れするように思うのです・・・・・

『バードマン』あらすじ


かつて『バードマン』で映画界のスターだった、リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、今や家庭も崩壊し落ち目の俳優となっていた。町を歩けば、リーガンは『かつてバードマンを演じた俳優』として声はかけられるが、実際は惨めな生活を送っていた。
そんなリーガンは、アーティストとして、ブロードウェイの舞台に立とうという無謀な決断をする。
レイモンド・カーヴァーの短編小説『愛について語るときに我々の語ること』を舞台向けに脚色し、自ら演出と主演を務めることにし、準備を始めるがトラブルが次から次へと起こり、それでも本公演前のプレビューは目前にせまってきた。焦るリーガンは、いつしか幻聴に悩まされるようになった・・・・・・・

『バードマン』予告


『バードマン』スタッフ・主演者


原題 BIRDMAN or (The Unexpected Virtue of Ignorance)/製作国アメリカ/製作年2014/上映時間120分/監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/脚本アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ他3名)
出演者:リーガン・トムソン(マイケル・キートン)/マイク・シャイナー(エドワード・ノートン)/サマンサ・トムソン - (エマ・ストーン)/レズリー・トルーマン(ナオミ・ワッツ)/ジェイク(ザック・ガリフィアナキス)/ローラ・オーバーン(アンドレア・ライズボロー)/シルヴィア(エイミー・ライアン)/タビサ・ディッキンソン(リンゼイ・ダンカン)/アニー(メリット・ウェヴァー)/ラルフ(ジェレミー・シャーモス)/ミスター・ラス(フランク・リドリー)/ガブリエル(ダミアン・ヤング)/クララ(ナタリー・ゴールド)/ハン(キーナン・シミズ)

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『バードマン』感想


そ〜いうアメリカの「俗っぽさ=スノビズム」の話で言えば、昔ニューヨークに出張した日本人が高級レストランに行ったところ、あからさまに人種差別的な扱いを受けたそうです。
あんまり、腹がたってフランス語で「ピュタン・デュ・ギャルソン・シル・ヴ・プレ!(くそボーイこっちこい!)」ナンて言ったとたん、「ウイ・ムッシュ」てなもんで、扱いが良くなったとか・・・・・

つまりアメリカ文化は常に、自国にない文化と伝統を求めていて、逆に言えば自国文化は「欧州文化」に較べて劣っているというコンプレックスに、満ち満ちていると感じます。


この映画も、かつてのハリウッドのスターが落ち目になり、起死回生でレイモンドカーヴァの小説を舞台化し、ブロードウェイでの評価を欲しがり、すったもんだする姿を描いて、笑える一作になっています。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥいわく、カーヴァの舞台劇を考えること自体が、もうすでにお笑い草らしいです。そんな無知なハリウッド役者が、ブロードウェイでの演技評価を求めることが、主人公の「スノビズム=俗物性」であり、チャンチャラ可笑しいという映画のようです。

だからこの映画の中でハリウッドの楽屋落ちや、ブロードウェイの評価のあり方や、名声を求めてジタバタする人間をオチョクリつつも、しかし、その実、その描きかたが結構スノッブなので、自己矛盾しちゃってるんじゃないのって思います・・・・・

例えば、主役のアラン・アーキンのバードマンは、もろにバットマンをイメージしますし、ナオミ・ワッツや、メグ・ライアンに対しても、相当キツイ冗談のネタにされ、更に現実の俳優とオバーラップするので、彼ら自体が名声を求める俗物として描かれているようで可哀想な位です。
正直、あざとい表現だと感じました。

さらにこの映画は、その「アメリカ的スノビズム」に迎合して、映画自体を演劇的に表現するという、アメリカの「白金マダム」あたりが見れば、あらオシャレだし面白いわ〜なんて言葉を頂けそうな撮り方になっているように感じます。

じつは、このメキシコ人監督には、その「スノビズム」を最後に笑ってくれるかと期待したんですが、どうもこの監督自身アメリカ的「アート崇拝」に毒されているようで、この「スノビズム」を肯定しているようで正直ガッカリしました・・・・・・私なんかは、舞台がそんなに偉いのって、思いますけど。

モチロン、舞台には舞台の優れた点がイッパイあることに反対するものではありません。

あの長い舞台を、演じきるには俳優としての高いスキルも必要でしょう。
でも、ハリウッドの映画俳優と優劣をつける問題ですか?

やっぱりこの映画は、ブロードウェイ偉い!ハリウッド駄目!と言ってるようで、そのエラソ〜な物言いに違和感を感じるんですが・・・・・・・・・

この映画が、アカデミー賞作品賞を獲ること自体、アメリカの「文化コンプレックス」が根深いという証明でしょう。

ま〜アメリカ人がアメリカ文化「ハリウッド映画」や「ミュージカル」「アメコミ」を文化的に低いとして、評価をしないのは勝手ですが、私は商業主義でコッテコッテのアメリカ文化が大好きなので、こんな「おゲージュツ」映画はアメリカ国内でのみ「文化的トラウマ治療」のために流通すればいいと思いました。

この手の「アメリカ的スノビズム」映画なら、ウッディ・アレンの方がまだコジれてネジまがっている分、アメリカ人ではない私には見てて楽しいです。

アメリカン・スノビズムをご賞味なりたい方はどうぞ、召し上がれ。
グランデ、ベンティどちらがお好み?


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posted by ヒラヒ at 20:08| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは〜お父さんはつらいよ的な?なんか哀愁漂うおじさんの話ですかな?スタバのフラペチーノもイタリア語なんですね🎵
Posted by ともちん at 2016年07月06日 20:41
>ともちんさん

有難うございます(^^)フラペチーノもイタリア語なんですか?
ね〜訳わかんないですよね…外国に行く事があって、カフェオレて言ったら、何?って顔されて、英語圏では「コーヒーアンドミルク」なんですって。じゃ〜日本は「コーヒー牛乳」でいいじゃんって話なんですが、けっきょく何かカッコつけたくてジタバタしている映画に見えましたm(__)m
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月06日 20:52
アカデミー賞作品賞とった映画ってなーんか日本人が観たらなんで?ってなっちゃうの多いっすよね(^^;
エドワード・ノートンがいい味出してましたね(*‘∀‘)
Posted by いごっそ612 at 2016年07月07日 15:54
>いごっそ612さん

ありがとうございます。アカデミー賞、専門家が評価してるんですから、映画的な質は高いんだろうと思うんですが・・・・・偏見が多いモンで(^^;
Posted by ヒラヒ・S at 2016年07月07日 17:39
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