2016年06月19日

映画『スペースカウボーイ』イーストウッド宇宙西部劇/あらすじ・ネタバレ感想・ラスト・意味

イーストウッドのスペース・ウェスタン




評価:★★★★   4.0点

クリント・イーストウッド監督にしては珍しい、ハッキリした娯楽作品です。
勧善懲悪的な予定調和の物語ながら、老年という年代に達した主人公達の活躍を描いて、思わず喝采を送ってしまいます。
宇宙空間の圧倒的な描写と、アクションスターとロケットという組み合わせの新鮮さもありますが、やはり映画のベースは「古き良きハリウッド映画」の味わいです。

トミー・リー・ジョーンズの役名がホーク・ホーキンズで題名にカウボーイと付けば、これは古い西部劇映画の監督ハワード・ホークスを思い浮かべます。



ハワード・ホークスといえばアメリカを代表するスター「ジョン・ウェイン」と1948年『赤い河』 1959年の『リオ・ブラボー』、1962年の『ハタリ!』、1967年の『エル・ドラド』など、西部劇の傑作を作りアメリカのフロンティア・スピリッツを映画として謳いあげた監督でした。
クリント・イーストウッドが10〜20代のころ活躍した懐かしの映画監督です。
また劇中で流れる「フライ・ミー・ツー・ザ・ムーン」いうフランク・シナトラの歌にも、そんなノスタルジックな思いが籠められているのではないでしょうか。

これは、やはりイーストウッド世代が見てきた「ハリウッド黄金期作品」にたいするオマージュだと感じます。

スペース・カウボーイあらすじ
ストーリーは、一頭のチンパンジーが宇宙に行く事になるマーキュリー計画の陰で、アメリカ空軍の宇宙飛行士を目指した4名のパイロット・チームが存在し訓練していたという設定で始まります。
それから40年、チームの一員だったクリント・イーストウッド演ずる主人公コービンのもとにNASAから衛星修復の依頼が来るのですが、それは主人公がアナログ時代に衛星の設計をしており、彼にしか治せないという理由があるからです。この70歳近い老人達が、訓練を積んで宇宙に飛び立てるかチャレンジする姿を描きます。


こう見てくればここで描かれているのは、かつて輝かしい未来を信じていた若者が夢破れ、その人生の悔いを持ったまま人生の終わりを待つ男達の姿だったでしょう。
ただし、そうは言ってもじっさいの彼らの人生は、宇宙飛行士にならなくとも、多かれ少なかれそれなりに充実して全うできたと言える人生だったでしょう。
つまりは、人生に不満があるというよりは、もっと輝く何かを求めたと言う方が正しいかもしれません。

たとえば、子供のとき、それこそ宇宙飛行士や警察官や電車の運転手やレーサーになりたいと言う、理想の自分を心の中に持っていたと思うのです。

そして、人生が終わりを迎えようとする世代だからこそ、このまま終わってもいいの?やり残した事は無いの?と問いかけている映画なのではないでしょうか。
劇中で、若い飛行士達がデジタル技術に依存するのに対し、主人公達がアナログ的な技術で対抗するのも、古い世代に対して夢の実現は過去の経験によって達成できるというエールだったはずです。


この映画は、そんな老年期の人々に対して、「西部劇」を見ていた頃の情熱を忘れるな、未来をまだまだ夢見るべきだという、そんな前向きなメッセージのように思います。

それは、西部というフロンティアを駆け抜けてきた「ハリウッド映画」が、最近は人々に勇気や元気を与えられてないことに対し、イーストウッドが「そんな映画で良いのか」と問題提議した作品でもあるように感じます。

つまりは、「ハリウッド黄金期作品」が語ってきた「夢」や「理想」を追求することこそが、この映画のテーマであり、それは同時に「映画」は人々に希望を与えるべきだと言うイーストウッド監督の想いを語っているのではないでしょうか。

そういう意味では、お年寄りだけではなく、全ての世代にとって「夢」や「理想」を感じさせることこそ、この映画の真の成功を意味するでしょう。

ま〜個人的には、トミー・リー・ジョーンズの最後の行動は必要だったのかどうか、いまひとつ理解できませんでしたが・・・・・それはともかく、このラストのいかにも作ったような宇宙空間にも、昔懐かしいハリウッド映画のセットの味わいが感じられます。

シナトラ歌うところの名曲「フライ・ミー・ツー・ザ・ムーン」このオールド・ファッションドな味わいをぜひ聞いて頂きたい。

このノスタルジック押しは、アメリカの60代以上のジーちゃんバーちゃん達の涙で、月に河を作っちゃうんじゃないでしょうか・・・・そういえば「ムーン・リバー」も夢を見ながら夢に敗れて、それでも夢を見る映画でした。

考えてみれば・・・・・アメリカ人だけではなく、世界の60億の人々が夢を見つつ、この地球と共に宇宙を旅してきたのですね。

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以降「スペースカウボーイ・ネタバレ」を含みますので、ご注意下さい。
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宇宙に行った4人の老人が直面したのは旧ソ連の軍事衛星の暴走でした。そこには核爆弾が装備され地球に向かって落花していくというのです。
それを阻止するため、トミー・リー・ジョーンズ演ずるホーク・ホーキンズが旧ソ連の衛星に乗り込み移動させる事になります・・・・・・・・・・・
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スペースカウボーイ・最後
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これはやはり充実した人生、ハッピー・エンドというべきでしょう。

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posted by ヒラヒ at 20:59| Comment(4) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おこんばんは〜珍し(^^♪動画!ええ曲でんな〜フランク・シナトラはじいちゃんが好きでしたわ。ニューヨークニューヨークとか。お年寄りの知恵って大したもんですよね!
Posted by ともちん at 2016年06月19日 20:51
>ともちんさん

動画使っちゃいました(^^)
フランク・シナトラの歌聴いてもらいたかったからです。
ノスタルジックで良いですよね・・・
Posted by ヒラヒ・S at 2016年06月19日 20:55
フランク・シナトラの歌聞かしていただきました!
いい歌ですね!
クリント・イーストウッド映画はハズレが無いイメージです。
Posted by いごっそ612 at 2016年06月20日 06:37
>いごっそ612さん
コメントありがとうございます。
イーストウッドまだまだ元気そうですよね。(^^)
Posted by ヒラヒ・S at 2016年06月20日 08:52
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