2018年02月06日

映画『パシフィック・リム』怪獣オタクに愛の花束を/あらすじ・感想・解説・続編紹介

ギレルモ・デル・トロの怪獣愛




評価:★★★    3.0点



この映画はギレルモ・デル・トロ監督作品なので見させていただいた作品で、正直、怪獣にもロボットにも思い入れが強い方ではないんです。
が、しかし、なぜか心打たれる自分がいました。
それは日本の怪獣モノを見て、心熱くしたこの監督の溢れる思いの強さに、感動したのでした・・・・・

映画『パシフィック・リム』ストーリー


2013年8月、グアム沖の海底に異世界と通じる割れ目から、怪獣がサンフランシスコを襲撃した。撃退したものの、怪獣は次々と出現しため、沿岸諸国は環太平洋防衛軍 (PPDC) を設立し、怪獣迎撃用のロボット、イェーガーを建造して立ち向かう。しかし怪獣の出現ペースは更に早まり、イェーガーの損耗も甚だしく、世界各地に巨大防護壁を建造することを決定した。しかしその壁も怪獣を防ぎきれず、人類は滅亡の危機に瀕していた。

そして2024年、起死回生の一手として深海の割れ目をイェーガーで破壊する計画が立案された。かつてイェガーで戦ったローリー(チャーリー・ハナム)は司令官ペントコスト(イドリス・エルバス)とともに香港のPPDCの基地に赴き、乗機ジプシー・デンジャーを再び眼にする。そこには、イェーガーの研究員・森マコ(菊地凛子)がいた。マコは優れた戦闘能力を持ち、イェーガーの搭乗者を希望していたが、少女期のトラウマを持つ彼女をペントコストは起用しなかった。

2025年1月、香港を最大級の怪獣2体が、同時に襲いかかった。ペントコストは、残存するイェーガーの3機を出撃させるが、破壊され戦闘不能に陥った。それを見た待機要員のローリーとマコはペントコストの制止も聞かず、ジプシー・デンジャーで出撃し、怪獣2体を倒した。
もう残された時間が少ないと知ったペントコストは、残る2体のイェーガーで割れ目の破壊作戦を実行することを決断し、最後の戦いに望むのだった・・・・・

映画『パシフィック・リム』予告

(原題Pacific Rim/製作年 2013/上映時間 130分/監督ギレルモ・デル・トロ/脚本トラヴィス・ビーチャム、ギレルモ・デル・トロ/原案トラヴィス・ビーチャム)

映画『パシフィック・リム』出演者

チャーリー・ハナム(ローリー・ベケット)/イドリス・エルバス(タッカー・ペントコスト)/菊地凛子(森マコ)/チャーリー・デイ(ニュートン・ガイズラー博士)/ロブ・カジンスキー(チャック・ハンセン)/マックス・マーティーニ(ハーク・ハンセン)/ロン・パールマン(ハンニバル・チャウ)/クリフトン・コリンズ・Jr.(テンドー・チョイ)/バーン・ゴーマン(ゴッドリーブ)/ディエゴ・クラテンホフ(ヤンシー・ベケット)/芦田愛(菜森マコ・幼少期)


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映画『パシフィック・リム』感想



映画としては、怪獣対ロボットの実写化というのも、なかなか画面の整理が大変だなとか、結局ヒューマンドラマと戦闘シーンのバランスが難しいなとか・・・・・・・

正直、あまりいい評価にはならないんですが・・・・・・
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それでも冒頭で述べたように、ナゼか否定的な評価を言えない私がいます。

よくよく考えてみたのですが、たぶんこの映画に作り手の想いがイッパイ詰まっているからではないかという気がしました。
それは、この映画の細部にいたるまでの創り込みの見事さや、過剰なほどの世界観の構想などに、この監督のこの映画を作る喜びが溢れ出ているように感じたのです。

この映画のスミズミにまで至る気の配りようは、この監督の作品に対する愛情が画面を通して伝わってきて、本当に撮りたい一本だったのだろうなと想像します。
この映画を見るとロボットや怪獣だけでなく、装備品や建物、人々の逃げる様子を含め、ドラマの描写にとって必要がない部分まで、この監督の頭の中で完璧に作られているのだというのが垣間見えます。

それはたぶん、この監督がず〜〜〜〜と、この映画で描かれたロボットと怪獣と共に人生を生きてきて、心の中で育んできたのだろうな〜と、勝手に考えて眼が潤んだりするわけです。

たぶん男の子なら誰しも、少年時代にロボットと怪獣を好きになったことでしょう。
しかし通常、その思いはいつの間にか忘れ去られてしまいます。
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しかしこの監督は、少年の日から長い年月をかけて、子供の日に見たもの以上の世界を作り上げ、その自分のイメージを映画として生み出せたというのは、本当に立派な根性だと思いますし、ホントに幸福な気持ちだろうと想像します。


そしてまた、その長い期間を決して諦めずに思い続け、映画作家として自分の撮りたい映画を撮れるまでになった、その努力に賞賛を送りたいと思うのです。

その結果として出来上がった作品を見て、何より個人的に感銘を受けたのは、過去の同ジャンル作品に対する深い敬意が見える事です。

この映画作品に対する謙虚さと、そのジャンルに対する革新と可能性を広げようという、この監督の製作姿勢に感動を覚えました。

文化とは過去の作品に対する尊敬と革新によって、伝統を引き継いでいく事だという実例を見たようで心が熱くなったということでした。

翻って考えれば、この監督の姿勢こそ日本の映画界に求められるものではないでしょうか?
もしその気なら、日本こそ怪獣やロボット、アニメから魔法使いまで、子供達を楽しませた「お宝コンテンツ」が山のように有るのです。

しかし日本映画の業界人は、マンガ原作やアニメなどを、どこか軽視して真剣につくっていないように見えるのは、私だけでしょうか。

ほんと、もったいないデスゼ・・・・・

この映画の監督のように、オタク的な作家が熱意を持って映画を撮ることこそ、そのジャンルの伝統を継承し革新できる事を思えば、そんなオタク監督に「花束」を贈りたいと思います。

関連レビュー:ギレルモ・デル・トロの傑作
『パンズ・ラビリンス』
少女の永遠を謳ったおとぎ話
幻想世界が現実世界を優越した映画


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映画『パシフィック・リム』解説

続編紹介


このオタク愛に溢れた映画は、実に世界的に根強いファンがいて、ついに続編が公開です!!!
その名も『パシフィック・リム:アップライジング』
イェーガー、超巨大KAIJU、日本上陸!
新たな戦いの幕が開くアクション超大作!
2018年4月13日(金)全国ロードショー!

『パシフィック・リム 2:アップライジング』予告

日本版予告1

日本版予告2

(原題:Pacific Rim Uprising/製作年2018年/製作国アメリカ/監督:スティーブン・S・デナイト/脚本:エミリー・カーマイケル、スティーブン・S・デナイト、T・S・ノーリン、キラ・スナイダー/製作:ギレルモ・デル・トロ)

『パシフィック・リム 2:アップライジング』出演者

ジェイク・ペントコスト(ジョン・ボイエガ)/ネイト・ランバート(スコット・イーストウッド)/ニュートン・ガイズラー(チャーリー・デイ)/ハーマン・ゴットリーブ(バーン・ゴーマン)/森マコ(菊地凛子)/シャオ・リーウェン(景甜)スラッシュ(カラン・ブラル)/マーシャル・クァン(マックス・チャン)/リョウイチ( 新田真剣佑)


え〜怪獣の方が大事だとは思うんですけど・・・・・
クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッドが出演しています。
ジャズはやめたの?
関連レビュー:スコット・イーストウッド紹介
『ジャージーボーイズ』
クリント・イーストウッド監督と音楽
アメリカ芸能界の光と影のミュージカル



posted by ヒラヒ at 17:26| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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