評価:★★★★★ 5.0点
理も否もなく、善と悪も、技術も、理屈も、首尾、結構、美醜、共感、同情、否定、肯定、反論、神仏も越え、ここに在るのは圧倒的なパワーだ。
技術や物語に拘泥すれば、表現者のプリミティブな情熱は、いつか雲散霧消し、スクリーン上の弱弱しい記号と化すだろう。
ここに在るのは自分のパッションを、バズーカ砲の如く一気に開放した軌跡だ。
この映画の表現は、パンクロックそのままだ。
細かい技術を放り投げて、ただ直接に自分の思いを叫び続ける。
魂の限り、のどから声が出る限り、叫び続け、一人でも多くに届けようという、強く燃える情熱さえあれば、むしろ技術が邪魔になる。
この映画にあるのは、そんな技術より前にある、熱いパッションの爆発だ!!
その燃えるパッションを持ちえたことは、この監督が世界に向かって何事かを叫ぶことを許された証なのだ!!!!!!!
・・・・・・と・・・・申しておいて、なんなんですが。
残念ながら、熱いパッションや、高いテンションというのは、ど〜も持続しないらしい事を、初期パンクロックで知ってしまった。
なぜなら叫びや情熱は、外に放出すればするほど、その圧力を下げていくからだ。
それゆえいつしか、魂の変わりに、魂に見える技術を求め始めるが、そんなものなどありはしない。
それゆえパンクは一過性にならざるを得ない。
この監督ロバート・ロドリゲスに宿った熱い叫びは、この作品を頂点として、以降その力を徐々に減じていくように思われてならない。
しかし、この作品の持つ驚異的なパワーは、この監督に宿った唯一無二の奇跡のようなものだったろう。
その奇跡を映画としたこの監督を、私は生涯愛するだろう。
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