原題 花樣年華/英語題 In the Mood for Love 製作国 香港 製作年 2000年 上映時間 98分 監督 ウォン・カーウァイ 脚本 ウォン・カーウァイ |
評価:★★★★ 4.0点
この香港映画は、ウォン・カーウァイ監督の鋭敏な感覚がとらえた恋は、官能を秘めてエロチックだ。
しかしその淫靡とすら言いたいほどの濃密な官能にもかかわらず、驚くべきは、その映画内には一切裸体や直接的な性描写が無いことだ。
恋する二人の恋愛心理を、ただ、指の動きや視線の交錯、体の動きだけで、とろりとした男女の恋心を表した手腕は、やはり卓越していると感じた。
映画『花様年華』あらすじ |
1962年の香港。
貿易会社の秘書であるチャン夫人(マギー・チャン)は、社交的な上海人のスエン夫人が大家の一室に、間借りすることを決めた。
その部屋の隣に、チャウも同じ日に引っ越してきた。
お互い既婚者ながら、それぞれの配偶者も仕事を持ち留守がちで、1人部屋で過ごすことが多かった。
そんな二人は、スエン夫人の部屋で毎晩打たれる麻雀の場で顔を合わせ、同じ店で夕飯を買うなど、日常の生活で交錯していた。
そしてある日、チャン夫人が武侠小説のファンだと知って、小説家志望のチャウは持っている本を彼女に貸したりと、二人はじょじょに親しくなっていった。
そんな生活の中チョウとスーは、それぞれの配偶者が浮気をしているのではないかと、疑念を抱きだした。
ある日、2人はレストランで話し、チョウの妻とチャン夫人が日本でしか買えない同じバッグを持っていて、チョウとチャン夫人の夫が、やはり日本でしか買えない同じネクタイをしている事を確認しあった。
それぞれの夫と妻が、共に日本に旅行に行くような、不倫関係にあると認めざるを得なくなる。
そして、お互いに何度か合い話し合う中で、どんな形で不倫が始まったのかとか、お互いに夫婦関係をどうすべきか、更には夫に別れを告げるシーンを想像し演じたりする。
そんなことを、繰り返すうちに、いつしかお互いを意識するようになった。
しかし、1960年代前半の香港は、保守的な社会だった。
チョウはアパートとは別の場所に、武侠小説を書くためとして部屋を借り、小説の意見を聞かせて欲しいという名目でチャン夫人を招きいれた。
部屋で密会をするチョウとチャン夫人の関係は、プラトニックなものだったが、逢瀬を重ね家に帰るのが遅くなっていった。
そんなある日、大家のスエン夫人はチャン夫人に対して、最近遅いが既婚者なのだから慎むべきだと非難した。
その言葉をうけて、チャン夫人はチョウにもう会えないと告げた。
そして、その日を境に2人は会うことがなくなった。
しかし、突然の雨に見舞われた一夜、二人は偶然アパート近くで共に屋根の下、雨宿りをした。
チョウはチャン夫人に、噂になるのはたくさんだ、シンガポールに行くと告げた。
チャン夫人はやましいことが無いのになぜと尋ねる。
(上:あなたが、恋におちるとは思わなかった。)チョウは妻のような不倫はしないと思っていたが、それは間違いだったと苦しげに語った。
そしてチョウは、しかしチャン夫人が夫を忘れられないから、自分が去ると告白した。
そして雨が上がった街路で、チョウは心の準備をしたいからと、チャン夫人と別れの練習をする。
チョウ:もう会わないほうが良い。旦那が戻ってきたら?/チャン夫人:そう・・・・望みは無いの?/チョウ:そんなこともないが。もう君と、会いたくない。旦那の近くにいる君を見たくない。/チョウ:深刻になるなよ、ただのリハーサルだ。泣かないで。これは本当じゃない・・・・(タクシーにのる二人)チャン夫人:今夜は帰りたくない。
練習であるにもかかわらず、チャン夫人は別離に涙を流した。
そして、2人はタクシーで秘密の部屋へと走り去った・・・・・・・・・
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映画『花様年華』予告 |
映画『花様年華』出演者 |
チャウ(トニー・レオン)/チャン夫人(マギー・チャン)/スエン夫人(レベッカ・パン)/ホウ社長(ライ・チン)/ピン(スー・ピンラン)