評価: ★★★★ 4.0
この映画は山崎豊子原作の同名小説を映画化した、大学病院と医療の現場の問題を厳しく追及した社会派ドラマです。
『白い巨塔』の意味は、大学の研究室などの閉鎖的な組織を「象牙の塔」と呼びましたが、大学病院の白い建物をイメージして、教授会や医師会をピラミッドのように構築された社会ということで「白い巨塔」と呼んだものかと思います。
何度も映画やドラマになっていますが、この映画化第一作目は1966年の日本映画黄金期の作品として、その実力を遺憾なく発揮した重厚な作品だとおもいます。
<白い巨塔あらすじ>
浪速大学医学部、東貞蔵教授(東野英治郎)の後任の席を巡って、有力候補の財前五郎(田宮二郎)とその反対勢力が激しく戦っていた。五郎は傲慢不遜な人柄で、名誉欲が強かったため、東教授を初め多くの敵が居た。
そんな五郎は、婿に入った裕福な開業医財前又一(石山健二郎)の財力を利用して、教授候補者として入念な事前工作を進めた。医学部長鵜飼(小沢栄太郎)に高価な絵を贈ったりした。
一方東は、その出身大学系列の医学部から菊川教授(船越英二)を予備後任教授に推薦した。その上娘の佐枝子(藤村志保)と結婚させようとしていた。教授選の日まで、財前、菊川、それに、第三勢力の野坂教授(加藤武)の推す葛西という三人の候補者が推薦された。そんな時に、五郎は同期生である里見助教授(田村高廣)の依頼で胃癌患者佐々木庸平を手術した。しかし、庸平は間もなく死んでしまう。教授選挙は五郎と菊川の決選投票になり五郎は、あらゆる手段を用いて教授の地位を手にした。ところが、間もなく、佐々木庸平の遺族が、五郎に対して医療過誤の訴訟を起す。マスコミの注目の中、裁判が始まった・・・・・・
(日本/1966年/149分/監督・山本薩夫/脚色・橋本忍/原作・山崎豊子)
第40回キネマ旬報ベスト・テン 第1位、日本映画監督賞、脚本賞
恰幅がいいという言い方がありますが、この映画は正にその悠揚迫らぬたたずまいといい、貫禄のある姿といい、誠に恰幅の良い映画と呼ぶべき一本かと存じます。
出演者も当時の日本映画界のトップスターが総出演です。
<白い巨塔出演者>
財前五郎:田宮二郎 - 浪速大学医学部第一外科助教授→第一外科教授
財前又一:石山健二郎 - 大阪市北区医師会副会長、財前産婦人科経営者
財前杏子:長谷川待子 - 財前五郎の妻。財前又一の実娘
里見脩二:田村高廣 - 浪速大学医学部第1内科助教授
東貞蔵:東野英治郎 - 浪速大学医学部第一外科教授→近畿労協病院院長
東政子:岸輝子 - 東貞蔵の妻
東佐枝子:藤村志保 - 東貞蔵・東政子の娘
鵜飼雅行:小沢栄太郎 - 浪速大学医学部第一内科教授、浪速大学医学部長
大河内教授:加藤嘉 - 浪速大学医学部病理学教授、前医学部長
葉山教授:須賀不二男 - 浪速大学医学部産婦人科教授
今津教授:下條正巳 - 浪速大学医学部第二外科教授
野坂教授:加藤武 - 浪速大学医学部整形外科教授
乾教授:北原義郎 - 浪速大学医学部皮膚科教授
河合教授:夏木章 - 浪速大学医学部小児科教授
川西教授:伊東光一 - 浪速大学医学部耳鼻咽喉科教授
金井達夫:杉田康 - 浪速大学医学部第一外科講師→第一外科助教授
佃友博:高原駿雄 - 浪速大学医学部第一外科医局長→第一外科講師
安西:早川雄三 - 浪速大学医学部第一外科医局員→第一外科医局長
柳原弘:竹村洋介 - 浪速大学医学部第一外科医局員
亀山君子:岡崎夏子 - 浪速大学付属病院第一外科病棟婦長
船尾厳:滝沢修 - 東都大学医学部第二外科教授
菊川昇:船越英二 - 金沢大学医学部外科教授
花森ケイ子:小川真由美 - 財前五郎の愛人、バー「アラジン」のホステス
(Wikioediaより)
この監督の安定した構図、必要な情報と情緒を伝える演出力、ゆっくり流れる大河のようなシークエンス、ドラマの重厚な骨格を示して見事だと思いました。
ほんとに富士山のような悠然たる姿です。
監督の山本薩雄は社会派の巨匠として、共産党員として、社会の矛盾や権力の横暴を告発し続けた作家です。
この映画のように社会に潜む不合理に対しては、真正面から立ち向かう姿勢、気迫が画面に満ちています。
しかしこれは、監督だけの力では無く、日本映画界の基礎力の高さ、そして何よりも、俳優陣の重厚な演技あっての事と思います。
この1966年は映画の斜陽が忍び寄っているとはいえ「映画俳優=スター」がキラ星のごとく輝きを競っていた時代です。
この俳優陣がいれば、このどっしりと据え置きにした撮影方法がベストだと思うのです。
例えば、この映画と同じ構図や絵コンテで今の俳優で撮ったら、とても画が持たないでしょうし、浮ついた薄いドラマに見えてしまうように思います。
同時に、眼前で過剰に刺激を明滅させるような今のTV演出になれた眼には、平板に見えるかもしれません。
しかしそのTV演出は、俳優陣の演技力に頼らない(頼れない)ためと、集中して物語に向き合わない、茶の間のナガラ視聴者向けの苦肉の策であり、ドラマを伝えるための本質的な演出とは思えないのです・・・・・
そういう意味で、この映画はかつて映画館で映画が上映されていた頃の、演出の基礎・基本をしめして「品格」の域に達していると思います。
マイナス☆1は、この監督の作品として更に優れたモノがあるように感じまして、その印象で満点を付けづらいという理由でございます。かしこ。
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ありがとうございます(^^)
古い映画で恐縮です。昔の映画の基礎力の高さの証明のような作品です。
ありがとうございます(^^)山崎豊子の社会派小説の映画化でした。なかなか重厚な映画ですが・・・・古いし白黒です・・・今見るとどうでしょう・・・