評価:★★ 2.0点
おやおやおやオヤ。
これはトンだハプニング。
シャマラン監督ドウシタコトカ?
実際この映画はいつものM・ナイト・シャマラン監督らしくない、どこか不思議な映画だ。
この監督の描き出す世界は、そのビジュアルのどこか歪んだ世界観が、人の無意識を刺激して、底なし沼のような泥の中に引きずり込まれるカンジが、たまらなく刺激的だったりする。
この映画でも、突然公園にいた人が奇妙な動きをしだす所とか、顔から血を流すシーンなど、映画のそこかしこに不穏なムードが満ち溢れている。
この監督の作品を見ると、理不尽ながら否応無く襲い掛かる不運を描かせたら、これほど巧い人はいないと、いつも思う。
それはこの映画でも同様で、得体の知れない「なにか」によって人が倒れていったり、人間同士が争うところなどは、背筋を冷たい汗が流れるほどの「まがまがしさ」が有る。
原因の分からない死というものが、これほどオゾマシい事態なのだと気付かせてくれる。
結局、どういう理由で自らの上に不幸が降りかかるか、それがいつ何時自分の身に起こるのか不明瞭であるとき、人はパニックに陥るのだとこの映画は語っている。
それゆえ、私はミスを犯した。
この映画もいつものシャマランのように、一種東洋的な深い哲学観念を表現していると思い込んだのだ。
その読みと共に見続けていく中で、イロイロと原因らしき事を作中それぞれの考えで言ったりはするが、キット原因は分からないままこの映画は終わるに違いないと信じた。
さすがこの監督の映画は、この世の真実を抉り出してくれる。
結局のところ不幸や災厄とは論理的な原因や因果応報を超えて、「ハプニング=予期せぬ事態」として人の前に現れるのだなぁ。
そこには理も非もなく、善と悪もなく、ただ無作為に発生する出来事だけがあり、その被害を蒙った者が理不尽を許せないが為に、カッテに意味づけするだけなんだよなぁ。
う〜むホントニ深い、スゴイ洞察だ。
やはり、キリスト教的な全てを明快に論理付けたりしないところに、深い叡智を感じるなぁ〜。
なんて思っていた、ト・コ・ロ・ガ
映画の最後でナンじゃコリャという、すげーつまんない、いかにもな、あ〜左様ですかという「オチ=原因」が語られてしまった。
だもんだから、こっちの期待の分だけ落差も大きくて、それはまるで2階の床に穴が開いていて堕ちたような衝撃だったのだ。
ホント、私のカンドーを返してホシイ。
クヤシイから★を三つ盗んでやった。
こんなアサハカな私の身に、ハプニングの起きた『ハプニング』でした。
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