評価:★★★★★ 5.0点
山田洋次監督の職人芸を楽しめます。
真田広之は地味な役を実直に演じて泣かせます。
JACでスタントに挑戦しているころから見ていますが、いい役者になったなぁ〜と改めて思います。
宮沢えりは大家の武家の娘を、凛とした気品と艶やかな色香を漂わせ見事です。
この方もリハウス娘の頃から存じてますが、今や映画女優といえば宮沢りえというぐらい、華やかさと実力の両方を兼ね備えて大きなスクリーンで映える存在ではないでしょうか。
これ以外の俳優陣も適材適所、敵役の田中泯、家老役の嵐圭史など完璧な布陣です。
そして脚本も、人情話のツボを押さえて見事です。
宮沢りえと真田広之の恋の行方なんて、その間といい、役者のたたずまいといい、完璧な演出・演技です。
そんなこんなで、観客の期待どおりに上げて下げて、泣かせてくれます。
この映画の出来の良さというのは、やはり山田監督の庶民に対する無限の愛情というものが、画面の全てに満ち溢れているからだと感じました。
こんな善良な人たちが、幸せにならずにど〜するのなんて、思わず力が入ったりして・・・・・
そんな人情味が、時として溢れすぎて、情緒過多になることもままあるのですが・・・・この作品はそこらへんの語りの量もイイ感じです。
山田洋次監督は自ら大衆作家の職業監督として自己規定していらっしゃる部分もお有りのようで、まず見る者に楽しんでもらいたいというのがストーリー・演出にしっかり出ています。
そう言う意味で、武家社会の宿命だとか、リストラ仕事を上から命じられた哀しみとか、リアルな殺陣の凄まじい迫力も、すべては感動を深めるため、ドラマを強めるための道具立てですから、取りあえず監督の導くまま、も〜、名人芸をゆったりと楽しみましょう。
この映画には、実直な職人が何千何万の器を作り続け、少しでも前より良い器にしようと努力した先に、ついには完璧な芸術品を生み出す・・・・・・・・・そんな見事さを感じました。
山田監督は職人としてたたき上げてきて、ついに名人・上手の域に達したナ〜なんて、生意気な事を思いました。
どうか皆さん、この映画を楽しんでください。
監督の望みも、間違いなくそこにあると信じてます・・・・・
見ればぜったい、感動しますって。
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