2018年08月08日

映画『戦場の小さな天使たち』戦中の英国少年の勝利/あらすじ・感想・解説・ネタバレ・ラスト・題名意味

ホントにイギリス人てば・・・・・

原題 Hope and Glory
製作国 イギリス
製作年 1987
上映時間 114分
監督 ジョン・ブアマン
脚本 ジョン・ブアマン

評価:★★★★    4.0点



えっと、イギリス人というのは山高帽をかぶり燕尾服を着て、下半身丸出しの股間にバナナを挟むようなジョークが大好きな人達ですので(あくまで偏見ですが…)そういう映画です。

それと、この題名はないです・・・・・・・・
確かにこの地味な映画を売ろうという日本側の心意気は買います、買いますが、まるで映画の本質から駈け離れているので、題名で見ようと思っても中身が違うとなるんじゃないかと心配です。

そのまんま題を付ければ「戦場のちびまる男」です。

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映画『戦場の小さな天使たち』ストーリー

1939年のイギリス。時のイギリス首相は第二次世界大戦の開戦を告げた。ロンドン郊外で両親と3人兄弟の家庭で育った、少年ビル・ローハン(セバスチャン・ライス・エドワーズ)の身にも戦争は近づいてきた。ローハン家では、父親のクライヴ(デイヴィッド・ヘイマン)が志願兵として出征し、母のグレース(サラ・マイルズ)は迫りくるロンドン空襲に備え、7才のビルと妹のスー(ジェラルディン・ミュア)を疎開させようとする。しかし母グレースは、駅で汽車が出発する直前になって、子供たちが嫌がっているのを見ると、彼女も別れがたく兄妹を家に連れ帰ってしまう。
しかしドイツ軍の攻撃が始まり、市街の家も次々に焼けていく。しかし、ビリーとその仲間たちにとっては夜間爆撃は炎と轟音の一大スペクタクルであり、残骸と化した家々は格好の遊び場となった。戦争の緊迫した状況下でも、ビリーは友達と共に楽しく遊び、たくましく日々を過ごしていた。
爆撃を受けた家は、また恋人たちの逢引の舞台でもあった。ビルの姉・ドーン(サミ・デイヴィス)とカナダ兵ブルース(ジーン=マーク・バー)も、瓦礫の中でデートを重ねていた。そんなある雪の日、父親クライヴが一時休暇で帰宅し、つかの間の家族団らんを過ごす。しかし、クライヴも、そしてカナダ兵ブルースも戦場に戻らねばならない。母グレースは、娘ドーンがブルースと会う事を止めきれなかった。グレース自身も、初恋の人への思いが蘇っていたのだ。

戦争が続く翌年の夏、ピクニックに出かけていたビリー一家が帰ってみると、家が火事で燃え尽きていた。
しかたなく一家は揃って、母方の祖父ジョージ(イアン・バネン)の家に身を寄せることになった。イギリスらしい自然あふれる田園の中で、ビルは森を駆け巡り、クリケットを覚え、釣りを楽しんだ。そんな中、突然カナダ兵ブルースが現われ、さらに父クライヴも帰って来た。そしてブルースとドーンは、周囲から祝福を受け結婚し、2人の間に男の子が生まれた。
しかし、ビリーには憂鬱なことがあった。
それは、楽しく充実したこの田園の日々が、夏休みと共に終わりを迎え、ロンドンの学校での勉強が待っているからだった。
悲しむビリーを祖父ジョージが慰めるが、ついにロンドンに戻り学校に登校する朝がやって来た。
しかしそこには思いがけない出来事が待っていた―

映画『戦場の小さな天使たち』予告

映画『戦場の小さな天使たち』出演者

クライヴ・ローハン(デイヴィッド・ヘイマン)/グレース・ローハン(サラ・マイルズ)/ドーン・ローハン(サミ・デイヴィス)/ビル(ビリー)・ローハン(セバスチャン・ライス・エドワーズ)/スー・ローハン(ジェラルディン・ミュア)/ブルース(ジーン=マーク・バー)/マック(デリック・オコナー)/モリー(スーザン・ウォルドリッジ)/ジョージおじいちゃん(イアン・バネン)/おばあちゃん(アン・レオン)

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映画『戦場の小さな天使たち』感想


この映画はこの映画を撮った監督の子供の時の思い出話です。
その子供の時がタマタマ戦時中だったというだけで、反戦がどうの、家族のきずながどうの何て、シリアスなことは瑣事にすぎないです。

なんせ、爆撃にあった教会を、悪がきが集まって破壊して遊んでたりします。

ブッチャケ「お爺ちゃんのタラタラした思い出話」です。
「ワシの子供のころは、戦争ってモンがあったんじゃが―」
なんてヤツですね。
なんですけど、いいんです。

コレが。

何て言うか、戦時下にも日常があって、その日常は子供たちにとっては唯一無二の時間で、楽しみも悲しみもあるとゆう、当たり前のことを教えてくれます。
ほんと子供って、基礎的な生命力の強さにはビックリしますもんね。

そういう、少年時代の一瞬を描いた映画と見たほうがヨロシイんじゃないかと・・・・
関連レビュー:少年時代の一夏を描く作品
『スタンド・バイ・ミー』
ロブ・ライナー監督の語る少年の永遠の夏
スティーブン・キングのノスタルジックストーリー

また戦火の中子供たちが、どんな環境であろうとその環境に順応し、自らを変えていく柔軟性に感動します。
しかし、固い話をすれば、逆に言えば劣悪な環境に在れば、そこで自らも劣悪な存在にしてしまう可能性もあります。
関連レビュー:ゼロ戦に憧れる少年時代を描く作品
『太陽の帝国』
スピルバーグ監督の語る戦時下の少年
クリスチャン・ベールの主演作デビュー作品


ま〜この映画自体は、力の抜けた、戦時下にも日常が有ったという、当たり前の話ですけど・・・・・

でも、戦時下のロンドンの子供達の生き生きとした様子や、イギリス田園風景の映像も美しいし、これ同年代の英国人が見たら、たまらないでしょうね・・・・

ノスタルジーで死んじゃうんじゃないでしょうか。

な〜んかノスタルジックで輝いていて、世代や時代を超えて共通する、子供時代・少年時代の持つ栄光とでもいうべきものが、ここに有るように思います。

それともう一つ思ったのは、困難に際しても冗談に紛らわせながら決して折れない、イギリスの「ジョンブル魂」とはこういうことなのかと想像したりしました・・・・・

実はこの映画の原題「ホープ・アンド・グローリー」は、戦時中に歌われた英国の愛国歌『希望と栄光の国(ランド・オブ・ホープ・アンド・グローリー)』からとられているそうです。

「希望と栄光の国」(きぼうとえいこうのくに、原題: Land of Hope and Glory)は、イギリスの愛国歌のひとつ。エドワード・エルガー作曲アーサー・クリストファー・ベンソン (Arthur Christopher Benson) 作詞、1902年発表。
2006年のBBCによる調査によれば55%のイングランド公民が『希望と栄光の国』が『女王陛下万歳(現国歌)』よりイングランド国歌にふさわしいと考えているという結果が出た。(wikipedia より)
<『希望と栄光の国』ヴェラ・リン 1962年>

ヴェラ・リンは軍の慰問を積極的に行い「イギリス軍の恋人」として親しまれた。この映画の登場人物も『希望と栄光の国』を彼女の歌で聞いただろう。

でも、このタイトルもシャレが効いていて、例えば「ホープ・アンド・グローリー」は「願いは栄冠に」何て意味にも訳せると思うんですけど、まんま最後のオチになっていて、で、スンご〜いキレのいいオチで、ミゴトに大笑いして・・・・・・・・

ホントにイギリス人てばって、思ったわけでした。
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以下の文章には

映画『戦場の小さな天使たち』ネタバレ・ラストシーン

があります。

イヤイヤながら、祖父の運転する車で学校に連れられて行くビル。

【意訳】祖父:お前は哀れな子犬だ。わしは、お前を学校に送るために、最後の蓄えを闇市でガソリンを買うために費やすのに、うんざりしている男だ。/ビル:僕は、同じようにローズヒル通りに住まなければならないんだ。/祖父:地元の学校に入るまでの間だ。/ビル:エヴァンズ夫人と一緒に。僕は、彼女が嫌いなんだ。/祖父:週末には家に帰るんだ。黙って、歩け!/祖父:大物ぶったバカどもが戦争を続けおって。けしからん。/祖父:お前たちがするのは、彼らから感性を奪って、ゴミで満たすことだ。/(学校から歓喜の声)子供達:やった〜!/校長:何てことだ!私の学校を!/友達:ビリービリー!爆弾が当たった!有難うアドルフ(ヒットラー)!!/(騒ぐ子供達を叱る校長と教師)/ビリー:おじいちゃん!(車に乗ったビルと祖父が笑う)/ビリーナレーション:私の全人生でこれほど完璧な喜びを感じた瞬間は無い。私の学校は廃墟となり、川は盗んだ日々を約束するかのように手招きしていた。
学校は爆撃で焼け、子供たちの「Hope=望み」は、ヒットラーのおかげで「Glory=栄冠」へと成った。
こうして、ビルは田舎の美しい自然の中での生活へと還ってゆくのであった。
自分が子供の時でも、夏休みを伸ばしてくれるんだったら、ヒットラーに感謝すると思う・・・・・

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posted by ヒラヒ at 17:02| Comment(0) | TrackBack(0) | イギリス映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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