評価:★★★★ 4.0点
このCDはボーカリスト、ミック・ジャガーの力量と幅の広さを改めて認識させてくれる、魅力的な一枚です。
ミックのソロ・アルバムの中では、あまり評価されてないようにも思いますが、個人的には一番好きだったりします。
ストーンズ風のロックンロールナンバーや、しっとりしたバラード、ラテンの味付けをした曲など、様々の顔を持っている事が解ります。
そして、2001年当時でも生きる伝説だったミックの為に、レニー・クラヴィッツやU2のボノ、ピート・タウンゼントやジョー・ペリーなど豪華なゲストや、最高峰のバックバンドメンバーが、真摯に参加演奏しています。
ミック自体の歌唱法や技術、そして説得力は、ローリング・ストーンズにおいても、このアルバムにおいても、決してブレないのは「さすが」の実力というものでしょう。
という事で、ミック好きならオススメです。
さて・・・・・ここから先はローリング・ストーンズ好きの人間からの、意見ですが・・・・・
このアルバムのミックの歌が、とっても魅力的であることはすでにお伝えした通りですが、ど〜しても比べてしまいます。
ストーンズと。
例えば「エヴリバディ・ゲッティング・ハイ」なんて、まんまストーンズナンバーの売れ線です。
ギターだって、キース・リチャーズのオープンGチューニングを彷彿とさせるリフです。
スゴーくカッコイイ曲で大好きなのですが、これをストーンズで演奏したらと夢想している自分がいます。
一説によれば、ミックがソロ活動を行う際に、ストーンズのメンバーを「何時までたっても上達しない」と言ったとか・・・・・
なるほど、このCDを聞けばミックの言うこともわかるのです。
このアルバムのバックのギター、ドラム、ベース等々、ビシビシに、タイトに切れまくりです。
こんなに正確なキレのいい音に支えられて歌う、ミックもとっても気持ちよさげデス。
でも、やっぱりストーンズの音に比べれば、どこか、何か、大事なものが足りないのです。
ほんとに不思議なモンで・・・・・
その原因のひとつには、ミックが100%コントロールしている点に有るようにも思います。
一連のソロ活動を通じて受ける個人的な印象としては、ミック・ジャガーというヒトは、ホントに仕事に関して真面目で几帳面なのだという事が分かったような気がします。
そして、例えばリズムボックスを使った演奏が無味乾燥に聞こえるように、あまりに整いすぎたものは、人の感情を揺さぶることができないのかもしれないと、思うのです・・・・・
やはり、どんなに大変でも、面倒でも、意見が合わなくても、お互いの全存在をかけて対等の立場でぶつかり合う、キースとミックの音楽観のせめぎ合いが「魔術」を作り上げてきたのだと、このCDを聞いて確認できたように思います。
バンド活動はシンドイけど、やっぱり、「偉大なマジック」を持っているということかと・・・・・
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ラベル:ミック・ジャガー ローリング・ストーンズ