評価:★★ 2.0点
松田優作はスターだった。
その存在感は、TVのアクションドラマなどで圧倒的な輝きを放っていた。
しかし、松田優作は同時に文学座に在籍した、狂気に近いほどの演技者だった。
「野獣死すべし」の役を演じるのに、身長が高すぎるので足を切ろうと真剣に考えたと、インタビューで答えていたのを覚えている。
この映画の中では、さえない軟弱な侍を演じている。
その侍が圧倒的な武芸の達人=丹波哲郎を敵に回し、奇想天外な方法で立ち向かうというストーリーである。
アクションといえば、ほぼ全編へっぴり腰で逃げるだけ。
飄々とした味わいと、ユーモア―が必要とされる、むしろスターの輝きを出してはいけない演技なのである。
丹波哲郎の堂々とした武士の風格を見ると、むしろこちらが正統的な「英雄=スター」というべき姿だ。
つまりこの映画で松田勇作演じる主人公は、反英雄=アンチ・ヒーローとして存在する。
これは、スターとしての己を封印して、松田優作が一個の性格俳優を目指すという宣言に近いものだ。
残念なことに、映画として伝える情報が混乱している事。
また、松田優作自体の演技も過剰な色があり、十分映画に沿っているとは言い難いと感じる。
それゆえ映画全体の評価としては☆2なのだが・・・・
しかし、当時の松田優作の俳優像から考えると、役者としてのイメージチェンジをほぼ成功させている事。
ラストシーンで劇中のキャラクターを超えて、これぞスターという、ゾクッとする顔を見せてくれる事。
以上2点をプラスし松田優作好きには☆4つとなる。
優作ファンなら見るべき一本だと思う。
それにしても、最後のシーンがビスコンティー「ベニスに死す」にそっくりなのだが・・・・・・もしかすると、この劇中の敵味方の間に愛が、同性愛が芽生えたのだろうか・・・・・・そう思えば、優作の役どころがストーカーのように見えてきたりして。
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