2015年08月01日

パラダイス・キス

マンガの実写ってホントに見たいですか-2



評価:★★     2.0点

北川景子がキレイだったので+☆1、それ以外の役者さんも、青春の熱を感じさせるガンバリが感じられたので+☆1。

すみません・・・・・・・チョットきついツッコミです・・・・・
タイトルにある事が全てなんですが、実は「るろうに剣心」のレビューが『マンガの実写ってホントに見たいですか』の一本目でした。
 
そこで言わせて頂いたのは、「マンガと映画のリアリティーの違い」でした。

そして、今回この作品で感じたのは、『マンガ世界を映画世界に再構築することの困難』という事です。

え〜っと分かりづらいですね・・・・・例えばこの映画の原作マンガの「イメージ=世界観」が『オシャレでカッコいい青春物語』というものだとします。だとしたら、映画世界の世界観をそれに合わせて作り上げる=構築することが、必要だと思うわけです。

そのために大事なのは、マンガと映画の『物語世界のリアリティを合わせる』という作業にあるような気がします。 

しかし往々にして「マンガの世界観=マンガのリアリティー」を「現実世界のリアリティー」に安易に置き換えて安心している映画が多いように思うのです。
 
例えば、マンガの背景として「原宿」が描かれていれば、「現実世界の原宿」でロケをして事足れりとしているように感じます。

マンガにとっての「リアリティ」というのは、このマンガは背景として現代社会を描いていますとか、魔法世界の物語ですとか伝えるための要素としての機能があると思うのです。 
それと、映画の持つ「リアリティ」は意味合いが違います。
映画の場合否が応でも実写=現実という図式で「リアリティ」が写りこんでしまうのです。

ですから『物語世界の構築』は、マンガの場合はリアリティをプラスし、映画の場合はマイナスすることで築き上げられると考えます。

そう考えた時、その作業はまず「原作=マンガ」の物語世界に対する深い理解と共感によって、「摸倣する映画」の側が実写としてその世界を構築可能かどうか(リアリティのコントロールが可能かどうか)の真摯な検討から入らざるを得ないでしょう。

そして、「即物的描写=ドキュメンタリー」から「純粋ドラマ=背景も無い舞台芝居」の『リアリティーコントロール=話法』の範囲内でその物語が伝えられるかどうか監督が判断し、実写が無理ならCG、アニメ、という形で『映像情報をマイナス』する事で、「マンガの物語世界」に近づけるべきだと思うのです。

もしくは、その漫画世界が映画世界に変換する事ができないと判断しても、なお作らなければならないのならば、「この映画はその漫画世界を表現できませんでしたので、別の物語世界で表現させていただきました」とアナウンスをすべきでしょう。

そう考えた時、この映画です。

例えばこの映画の原作の持つ世界観からみれば、この「映画世界のリアリティ」はフィットしてないように個人的には感じました。

この作品の「マンガ世界」は、クールなデザインの「童話的世界=シンデレラストーリー」になっている様に思うのですが、映画ではマンガのストリーをあまりにも即物的に「現実世界」に落とし込んでしまっている様に思います。

かんたんに言えば、この映画で描写されたリアリティが「原宿」だとしたら、マンガは「HARAJYUKU」か「ハラジュク」というニュアンスで「世界観」を作って欲しい、という言い方でご理解いただけるでしょうか・・・・・

そんなコトを踏まえつつ・・・・・えっ〜と・・・・・・大胆な事を言います。

もし違っていれば謝りますが、映画側に「マンガ」に対する軽視が無いですか・・・・・・・・・・
例えば映画界全体になんですけど、文学作品を実写化するときの世界観構築に比べて、マンガに対してはどこかイージーな雰囲気を感じるんですが・・・・・・ 

マンガは現実を不十分に表現した物語で、それを映画=実写にすればそれで表現力が上がるだろうという感覚が、どこかにあリませんか?
誤解であって欲しい・・・・ですが、ふとそんな疑念を持ってしまいました。

で、もう一度言わせてもらいます。

マンガの実写映画化って、名前が通ったマンガをネタにすればソコソコ客集まるしみたいなとこアリマセン?
そういう形の実写化は何か「マンガ」にとっても「映画」にとっても不幸な気がします・・・・・
ということで、ホントに見たいですか?マンガの実写?


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posted by ヒラヒ at 20:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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