評価:★★★★ 4.0点
この映画に表わされた内容だけの評価だったら、星2つぐらいなのだが・・・・
正直キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの青春を描いたというには、映画としてのフォーカスがぼけている印象がする。
映画自体は南米の国を回って行く若者2人の、ホントに普通のバックパッカーの日常である。
もちろんそこには、若者の持つ無限の可能性と、終焉など想定もし得ない、永遠の未来とも言うべき「青春の旅」が、確かに収められている。
その旅の光景は十分魅力的だ。そしてまた、南米の美しい景色が旅情をかき立てもする。
この二人の旅を見て、バックパッカーの経験がある人達や、いずこかを目指したいとと考えている青年期の人々にとっては、旅への欲望に火をつける映画となるかもしれない。
そういう意味で青春の放浪記としての描写力はあるだろう。
しかし、青春ロードゴーイング・ストーリーとして見た時に、個人的評価は★二つだった。
それは、どこか淡々と事実を追うという描写が、まるで芸能人の旅ドキュメンタリーのような散漫な印象で、ドラマとしての力が弱いように感じたからである。
これがチェ・ゲバラの若き日の姿だと思わなければ★二つで終わるだろう。
結局この映画は、個人的には、あのカリスマ革命家のイメージを抜きにして成立し得ない映画であるだろう。
しかしまた、チェ・ゲバラ的な匂いが一切しないことで、見るほうに混乱をもたらしているように思える。
例えばその後の革命に通じる、民衆の困窮や、苦悩、社会的な矛盾を殊更に主張する事はない。
南米の普通にある生活を、平板に描いているという印象である。
そこで、深読みすれば監督の意図は、あのチェ・ゲバラですら青春の1コマで、のんびりと楽しく旅をする一時があったという事なのか・・・・・
そう読み取ればこの映画は、神格化された革命兵士も、青年期はかくもマジメで普通だったのだという起承を語っていることとなる。
そして、この映画で語られていない彼の後半の人生に転結を任せたという事になるのであろう・・・・・
そういうこの映画外の情報を付加した上で、やはりキューバ革命の英雄チェ・ゲバラの劇的な後半生を含んで一つの物語と解釈すれば、星4つとなるという・・・・・・
しかし蛇足と言えば蛇足なのだが、恐ろしい想定があって、監督がチェ・ゲバラの革命のキッカケをこの旅の中で見つけたいう話を伝えたいと考えていて、見事に失敗したという・・・・
イヤ・・・・まさか・・・・・正直この監督の・・・他の作品知らない・・・・・・でも・・・・いくらなんでも・・・・
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