2014年08月22日

ハンサムスーツ

不細工の必然としての歪み



評価: ★★★ 3.0

楽しい映画です!笑えます!
見ててアキナイですし、出演者も適材適所、演技も芸人さんも含め過不足ありません。
CGの効果も若干目がチカチカしますが、「アメリ」以降、コメディ映画のトレンドですのでTVで見ることも考えればウマくいってる方だと感じました。

でここまでの長所で、☆3.0と見積もりました・・・・・


え〜それでまた、失礼しますが・・・・・・・
チョットご意見を・・・この映画が好きな方は、スルー願います。

という事で、やっぱり脚本の問題に尽きるでしょう。
この映画は、そのテーマとして「外見と心」という哲学的命題を、ケッコウ熱を込めて力説しちゃってます。

ここで個人的には問題が、2つあります。

一つは、この「コメディ」の語り口と、「テーマ」の語りのバランスが、良くないのと感じました。
つまり、コメディの味を壊すほど「ブサイクで何が悪い」のテーマを強調しすぎているように思いました。
ここは、作り手として「外見と心」が最も伝えたい事だったとしても、チョット主張を抑えた方がコメディとしてのクオリティ、語り口の精度が高くなったように思いました。

逆に、「外見と心」をどうしても伝えたいということであれば、コメディはふさわしくないと思います。

この表現のバランスという部分は、作り手から一歩離れた客観的な眼が必要だと思うのですが、日本の映画界にそういう「客観的な評価」を製作時にする部門があるでしょうか・・・・ハリウッド映画だと、極端に言えば、作り手の気持ちを無視してでも、この客観的評価=観客のニーズにこたえているか否かを検証し、コッテリサービスしてくれます。

翻って日本はといえば・・・・芸人さんが「作り手側の主観的(独善的)映画」を撮っているのを見るたびに、誰か言ってあげればいいのにと思います・・・・・
実際この映画は、ほんのちょっとの比重、ニュアンスの違いでエンターテーメント性が高くなったのに残念だと感じたのです。

生意気な感想ですが、おしぃなぁです。


二番目はテーマそれ自体に関してです。

え〜ぶっちゃけ「心のきれいなゴキブリ」と結婚できますか?私は出来ません・・・・・
さらに、「心のきれいなゴキブリ」は人から殺されそうな目に何度もあって、「心のきれいなゴキブリ」でいられるでしょうか?
つまりは、「外見と心」は不可分に結びついているのです。

残念ながら、「ブサイクでも心がきれいであれば認めてくれる」というこの映画のストーリーは、人間社会の本質に添わないように思います。

基本的には人から嫌われる外見の人は、心も歪むのが当然です。
誤解してほしくないのですが、他者から受け入れられない自分を認めれば、歪むのが当然であり、逆に歪ませないと環境不適応になって精神疾患に近ずく事になってしまいます。

そうであれば、この映画のように「心さえキレイであれば」などと考えず、人から好かれれば「心がキレイになる」と考えるべきだと思うのです。

そのためには、ブサイクな人は「外見」ではない部分で人から魅力的と思われる長所(勉強、芸術、スポーツ、笑い、キャラクター)を作ることが現実的だと考えます。
 
これは、いずれも自分の努力によって勝ち得た魅力であり、外見よりも、後天的な魅力を評価してくれる人は絶対います。

そして、たった一人でも評価してくれる人がいれば・・・・生きて行けるはずです。

ホントに頑張ってほしいと思います・・・

それでも、醜い外見によって「人に受け入れられない」ことを、すでに経験し傷ついてている「あなた」だとしたら、精神的な治療行為として、美容整形手術という選択肢も視野に入れてはいかがでしょうか・・・・・・

ことほど左様に、「外見と心」の現実は冷徹で、命すら左右しかねません。

そういう意味で、どうか、外見なんてどうでもいいなんて考えないように、お願いしたいと思うのです・・・・・

この映画はそういう意味で「美しい心」という古いテーマを、ハリウッド・コメディのように軽く振りかける使い方をすれば良かったのに、力説しちゃったために、私のような歪んだ心を持つ者には「そんな簡単な話じゃないでしょ」とナンクセ言われる事になってしまいましたとさ。



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ラベル:英勉 谷原章介
posted by ヒラヒ at 22:00| Comment(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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