2020年10月28日

映画『女と男の名誉』これは!マフイアをディスってるのか!?/ネタバレなしあらすじ・解説・考察・監督ジョン・ヒューストン

巨匠のお言葉では、ありますが・・・・

原題 Prizzi's Honor
製作国 アメリカ
製作年 1985年
上映時間 130分
監督ジョン・ヒューストン
脚本リチャード・コンドン,ジャネット・ローチ


評価:★★★    3.0点

この映画を2度見ても、正直、オモシロイと私は感じませんでした。
ま〜〜標準作かなという事で、星三つです。
しかし、どこか釈然としないというか腑に落ちないところがあり、その違和感を追及してみました・・・・
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<目次>
映画『女と男の名誉』簡単ストーリー
映画『女と男の名誉』予告・出演者
映画『女と男の名誉』感想
映画『女と男の名誉』解説・映画評価
映画『女と男の名誉』解説・アカデミー賞授賞式紹介

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映画『女と男の名誉』簡単あらすじ

マフィアのプリッツィ家は、ドン・コラード(ウィリアム・ヒッキー)、ドンの長男ドミニク(リー・リチャードソン)、次男エドアルド(ロバート・ロッジア)、相談役のパルテナ(ジョン・ランドルフ)、パルテナの息子でヒットマンのチャーリー(ジャック・ニコルソン)を主要メンバーとして、ニューヨークのブルックリンを縄張りとしていた。ある日ファミリーの結婚式で、チャーリーはアイリーン(キャスリーン・ターナー)という女性に一目ぼれする。そんなチャーリーが、ファミリーの金72万ドルを持ち逃げしたヘラーを、始末せよという命令が入る。そこにはヘラーの妻としてアイリーンがおり、金は半分なくなっていた。しかしアイリーンに惚れ込んだチャーリーは、アイリーンの言い訳を信じて結婚をしたのだが・・・・・・実はアイリーンも闇社会に身を置く者だった。72万ドルの行方と、マフィアの掟、さらにドンの娘メイローズ(アンジェリカ・ヒューストン)も絡み、チャーリーの運命は思わぬ方向に転がるのだった・・・・・・・
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映画『女と男の名誉』予告

映画『女と男の名誉』出演者

チャーリー・パルタンナ(ジャック・ニコルソン)/アイリーン・ウォーカー(キャスリーン・ターナー/エドアルド・プリッツィ(ロバート・ロッジア)/アンジェロ・"パパ"・パルタンナ(ジョン・ランドルフ)/コラード・プリッツィ( ウィリアム・ヒッキー)/ドミニク・プリッツィ(リー・リチャードソン)/ロザリオ・フェラージ(マイケル・ロンバード)/メイローズ・プリッツィ(アンジェリカ・ヒューストン)/プランバー(ジョージ・サントピエトロ)/ハンレー警部補(ローレンス・ティアニー)/ピーチズ・アルタモント(CCH・パウンダー)/メイローズのメイド(CCH・パウンダー)/マークシー・ヘラー(ジョセフ・ラスキン)/兵隊(スタンリー・トゥッチ)

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映画『女と男の名誉』感想


え〜腑に落ちないというのも――
一つには、公開当時の賞レースに、受賞も含め軒並みノミネートしている事。
また、大物俳優ジャック・ニコルソンがこの程度の脚本で出演している事。

個人的な印象としては「軽いコント」に、とんでもない役者が出て、作品の実態よりも大きな評価を得ているという気がしてなりません。
もちろん、イヤイヤそんな事はない、これは十分面白いという人はぜひ「アナライズ・ミー」や「ドン・サバティーニ」「隣のヒットマン」なんて、マフィア・ギャング・コメディと比べてみて下さい。
この映画がコメディーと言えるのかという事にすら疑問を持ちます。

実際この映画は、評論家評価は高かった割には、興行収入はさっぱり伸びず、1,600万ドルの予算に対して、わずか2,600万ドルの収益でした。この数字は、広告費やもろもろを考えると、トントンか悪くすれば赤字というレベルです。

さらにアメリカ映画サイト「ロッテントマト」を見ても、観客の支持は62%に対し、批評家の評価は86%と高くなっています・・・・
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で、話は元に戻って、なぜこの映画が高評価なのか・・・・私には分かりません・・・

原因を求めて、ひとつ発見したのは、監督がジョン・ヒューストンだという事です。
ジョン・ヒューストンといえば、ハリウッドの映画史を作ってきた監督と言っても過言ではないでしょう。
jyon-huston.jpgジョン・ヒューストン(John Huston, 本名: John Marcellus Huston, 1906年8月5日 - 1987年8月28日)は、アメリカ合衆国の映画監督・脚本家・俳優。
父親は俳優のウォルター・ヒューストン。ミズーリ州にて俳優一家に生まれ、3歳の時から舞台に立つ。ティーンエイジャーの頃はボクシングに熱中し、その後各地を放浪して様々な職業に就いた。
後にハリウッドに落ち着いて脚本を書くようになり、『モルグ街の殺人』や『黒蘭の女』などの脚本を手がけて実績を積んだ後、1941年にハンフリー・ボガート主演の『マルタの鷹』で監督としてデビューした。(wikipediaより引用)

またこの人は、ホント豪快な、ほとんど禁治産者かと疑われるぐらいの、強烈な個性の持ち主だったらしく、そこらへんをクリント・イーストウッド監督が映画にしています。
アメリカ映画:1990年
『ホワイトハンター ブラックハート』
クリント・イーストウッド監督・主演で描く、伝説の監督ジョン・ヒューストン
映画『アフリカの女王』の舞台裏で起きていた騒動とは?

いずれにしても、日本でいえば「クロサワ」のような、ビッグネームです。
この映画の公開が1985年ですから、この当時79歳。
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こんな名匠の映画に出られるチャンスがあるとなれば、ジャック・ニコルソンといわず誰もが出演を望むのではないでしょうか。

さらに言えば、この映画の後何本映画を撮れるかと考えて、実際これが遺作になったことを思えば、「今でショ!」という事になろうかと思います。

そして、この「生ける伝説」に対して、アメリカ映画界全体が報いようという気持ちが在っても、何ら不思議はありません。
それがアカデミー賞ノミネートという形で提示されたということだと想像します。


そんなこの監督に対する敬意が、この映画『女と男の名誉』がノミネートされた、58回アカデミー賞で現れています。
その作品賞のプレゼンターとして、彼が登場した時のスタンディング・オベイションにアメリカ映画界の賞賛を感じ、胸が熱くなるものがあります。

第58回アカデミー賞・最優秀作品賞スピーチ

司会者はジェーン・フォンダ、アラン・アイダ、ロビン・ウィリアムス。
ジェーン・フォンダが、最も価値のある最優秀映画賞のカテゴリーまで来た。我々は幸運なことに最も偉大な三人の映像作家を紹介します。アラン・アイダがジョン・ヒューストン、ビリー・ワイルダー、ジェーンフォンダが黒澤明と3人のプレゼンターを呼び込む。
三人は握手してノミネート者を紹介。
『カラーパープル』/『蜘蛛女のキス』 /『愛と哀しみの果て』/『女と男の名誉』/『刑事ジョン・ブック 目撃者』
ビリーワイルダーが受賞者名の入った封筒を求め、黒澤が開封する。受賞者カードをジョン・ヒューストンの指示でビリー・ワイルダーへ。
受賞者は『愛と哀しみの果て』

【『愛と哀しみの果て』プロデューサー、シドニー・ポラック受賞スピーチ・意訳】
我々すべてにとって素晴らしい夜です。他に何を言えばいいのかわからないけど、大変感謝しています。そして、もし私が前(監督賞受賞時の感謝)に誰かを言い洩らしていたら、それはすべてプレッシャーのせいだったと、ご理解いただけると願っています。本当にありがとう。皆さん、ありがとうございました。

しかしこのシーンで思うのは、アメリカ映画界のその懐の深さであり、改めて凄いところだと感じます。
ジョン・ヒューストンがアイルランド系で、ビリー・ワイルダーがドイツからの移民であり、黒澤はアジアの異邦人で、さらに作品賞を受賞したシドニー・ポラックはウクライナから移民したユダヤ系のアメリカ人です。

その多様性が、アメリカ映画界を支えているのだと思います・・・例えば、以下のレジェンド3人の作品を見れば、多様性がいかに映画を豊穣にするかがわかるかと思います。
アメリカ映画:1960年
『許されざる者』
オードリー・ヘップバーンの異色西部劇
巨匠ジョン・ヒューストン監督の描く西部劇の懺悔

アメリカ映画:1962年
『7年目の浮気』
マリリン・モンロー「ロリータ巨乳」伝説
浮気な男の前に現れた天使のようなグラマー

日本映画:1954年
『七人の侍』
映画史に永遠に刻まれた日本映画
黒沢映画の時代劇と西部劇との関係?

話が横道に逸れました―
いずれにしても、アメリカ映画界のレジェンドに対する敬意表明だと思えば、この映画に対する評価というのは、監督ジョン・ヒューストンの名声と相まって形成されたものであり、映画の作品的価値とはちょっと離れた部分で与えられたようにも思えます。
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映画『女と男の名誉』映画祭・受賞歴
私個人の評価はどうであれ、この映画は評論家や映画賞で高い評価を受けています。
アカデミー賞
助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン受賞:(以下ノミネート)作品賞/監督賞ジョン・ヒューストン/主演男優賞ジャック・ニコルソン/助演男優賞ウィリアム・ヒッキー/脚色賞/編集賞/衣裳デザイン賞
ゴールデングローブ賞
受賞:作品賞 (ミュージカル・コメディ部門)/監督賞ジョン・ヒューストン/主演男優賞 (ミュージカル・コメディ部門)ジャック・ニコルソン/主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)キャスリーン・ターナー:(以下ノミネート)脚本賞/助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン
ニューヨーク映画批評家協会賞
受賞:監督賞ジョン・ヒューストン/主演男優賞ジャック・ニコルソン/助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン
ロサンゼルス映画批評家協会賞
受賞:助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン
全米映画批評家協会賞
受賞:監督賞ジョン・ヒューストン/主演男優賞ジャック・ニコルソン/助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン
ボストン映画批評家協会賞
受賞:英語映画賞/監督賞ジョン・ヒューストン/主演男優賞ジャック・ニコルソン/助演女優賞アンジェリカ・ヒューストン

第58回アカデミー賞・助演女優賞スピーチ


プレゼンターはマーシャ・メイソン、リチャード・ドレイファス。
ノミネート者を紹介。
マーガレット・エイヴリー(カラーパープル)/アンジェリカ・ヒューストン(女と男の名誉)/エイミー・マディガン(燃えてふたたび)/メグ・ティリー(アグネス)/オプラ・ウィンフリー(カラーパープル)
受賞者はアンジェリカ・ヒューストン。

【アンジェリカ・ヒューストン受賞スピーチ・意訳】
アカデミーのメンバーに、私の仲間の候補者と、私を称えてくれたことに感謝します。これは、私が父から指示された役割から来ているので、私にとって大きな意味があり、彼にとっても大きな意味があると、私には分かっています。また、『女と男の名誉』の出演者とスタッフ全員に感謝します。私は名前を言おうとは思いません。皆さんは自分が何者か知っています。そして、私の友人たち、彼らの愛と支援、そして私の守護天使、特にブルース・ワイントロープと、私の亡くなった教師のペギー・フィーリーに。有難うございました。

関連レビュー:アメリカ映画界の歴史アカデミー賞紹介
『アカデミー賞・歴代受賞年表』
栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
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ここまで高い評価を受けている本作品・・・・・・私を含め、観客には一見分からないスゴイ価値が潜んでいるのでしょうか・・・・・?

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映画『女と男の名誉』考察

反マフィアの主張?

ただこう書いてきてナンですが、この映画の公開された1985年が気になって来ました・・・・・
もしかすると、不確かなのですが、マフィアを題材にしたコメディー映画の「オリジナル=原型」となった一本なのかなと・・・・・・

当時は「ゴッド・ファーザー」によって確立した、重厚でシリアスな、家族の愛と苦闘の物語としての「マフィア組織=ファミリー」のイメージを世間が共有していた時です。
関連レビュー:コッポラ監督の古典的マフィア映画
映画『ゴッドファーザー』
イタリア・マフィアの闘いを描く古典的傑作!
イタリア系移民の苦闘と家長の行方とは?

そのイメージを打ち崩す「マフィア・コメディ」映画を世に問う事は、なかなか困難な挑戦だったようにも思うのです。


しかし、だからこそ、ここに老いた巨匠の反骨精神を感じるのです。

ジョン・ヒューストンはアイルランド系アメリカ人です。
prizzis-jyon.jpgアイルランド人というと想起されるのが、「頑固一徹」という言葉です。

その頑固さは、例えば『ミリオン・ダラー・ベイビー』の悲劇的な物語を支える、頑なさとして存在すると思います。
アメリカ映画:2004年
『ミリオンダラーベイビー』
クリント・イーストウッド監督のオスカー受賞作
女性ボクサーの栄光と生命の尊厳

アイルランド系移民もイタリア系移民同様、アメリカに移住した際には、差別もあり苦労が絶えなかったといいます。
しかしイタリア系移民が非合法な犯罪に走ったとしても、アイルランド系移民は逆に命を懸けて正義を守る、警官や消防士という職業に就いたのです。

そんなアイルランド系アメリカ人から見れば「ゴッド・ファーザー」以後の、犯罪組織を称揚するような、暴力礼賛とでもとれる世間の風潮が我慢ならなかったんだと思うのです。
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それゆえ、この映画の中では「マフィア」を「金のためなら自分の子供でも食らう」、「亭主と女房で殺しあう」ような反倫理的な人間だと描き、その行動を茶化すように「笑い」に変えています。

そう思えば、これは組織暴力団に昂然と戦うという「老将」の決意表明だったのかもしれません。
そういう気合が、原題の「Prizzi's Honor」という題に現れているように思います。
このタイトル「プリッツイ一家の名誉」とは「金」だけなのだと、この映画は力説してくれます。

しかし「反マフィア」の直截な糾弾の姿勢と、笑いとの、映画的なバランスが今一つだと感じられるので、個人的な評価は頑固が信条のアイルランド系の監督に敬意を表し、カタクなに★三つとさせていただきます。



posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(6) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月25日

1973年開催・第45回アカデミー賞・前代未聞の事件発生!/授賞式スピーチ紹介/全受賞作品・ノミネート作品紹介

1973年開催・第45回アカデミー賞・授賞式


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第45回アカデミー賞は1972年の公開作品を対象とし、1973年3月27日にカリフォルニア州会場 ロサンゼルス・ ドロシー・チャンドラー・パビリオンで発表・授賞式が行われた。
司会はキャロル・バーネット、チャールトン・ヘストン、マイケル・ケイン、ロック・ハドソンが務めた。
最多部門ノミネートは『ゴッドファーザー』と『キャバレー』の10部門で、最多部門受賞の8部門だった。
この年の授賞式には、アカデミー史上に残る、2つの大きな事件が起きた。その事件は両方とも来るべき人が来ないために引き起こされた・・・・・
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関連レビュー:オスカー受賞一覧
『アカデミー賞・歴代受賞年表』
栄光のアカデミー賞:作品賞・監督賞・男優賞・女優賞
授賞式の動画と作品解説のリンクがあります。
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<目次>

レッド・カーペットと開演

事件Aチャールトン・へストンの遅刻

助演女優賞スピーチ: アンジェリーナ・ジョリー

助演男優賞スピーチ:マイケル・ケイン

主演女優賞スピーチ:ヒラリー・スワンク

主演男優賞スピーチ:事件Aマーロン・ブランド

監督賞スピーチ:サム・メンデス

作品賞:アメリカン・ビューティー

1999年映画関係者・追悼フィルム

その他全部門ノミネートと受賞

アービン・G・タルバーグ記念賞:ウォーレン・ベイテイ

第45回アカデミー賞・レッドカーペット/オープニング・シーン


レッド・カーペットを歩く出席者紹介から、劇場内にカメラは移りアンジェラ・ランズベリーのミュージカルで開幕。
アカデミー協会会長ダニエル・タラダッシュの挨拶「時代は移り、全米の613の大学で2818の映画学部があり、このまま行けば世紀末には184万人の映画作者が生まれるはずで2000年には72回のアカデミーとなるが、その頃には発表内容が増え、授賞式は9時間になる」などと語り、アカデミ賞の候補及び受賞作の投票等を説明するクリントイーストウッドを呼び込む。

第45回アカデミー賞・事件@チャールトン・へストンの遅刻

本来チャールトン・ヘストンが自身の映画『十戒』のパロディーで説明をする予定だったが、車のタイヤがパンクし遅刻した。そこで急遽、最優秀作品賞のプレゼンターを務める予定だったクリント・イーストウッドに、代役が回ってきた。
【クリント・イーストウッドのスピーチ】
(11:17秒より)ここは、本来チャールトン・へストンのショーだったが、どういうわけか彼が現れなかった。それで、彼等(アカデミー協会)は12本の映画で3行しかセリフのない男を選んだ。心配ない。やろう。この台本に書いてあるのは、たぶんへストンが言うだろう、聖書に書かれたモーゼの演技をし、言うだろう。(以下へストンのセリフを読むが、場内から笑いが起こる)これは、俺の鞄の中身じゃない。(更に投票方法を説明するところにチャールトン・へストンが登場し、イーストウッドは下がり、以下チャールトン・へストンが引き継ぐ)


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第45回アカデミー賞・主要賞結果


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第45回アカデミー賞・助演女優賞スピーチ

プレゼンターはクロリス・リーチマン、ロバート・デュヴァル
ノミネート者を紹介。
ジーニー・バーリン(ふたり自身)/アイリーン・ヘッカート(バタフライはフリー)/ ジェラルディン・ペイジ( おかしな結婚)/ スーザン・ティレル(ゴングなき戦い)/ シェリー・ウィンタース(ポセイドン・アドベンチャー)

受賞者はアイリーン・ヘットカート(バタフライはフリー)
【受賞スピーチ・意訳】
このパートで私を推薦してくれた最初の人、ハワード・オトウェイ、そして最愛のスタッフ、そしてもちろん皆さまに感謝します。ありがとうございました。
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第45回アカデミー賞・助演男優賞スピーチ

プレゼンターはダイアナ・ロス、ジェームズ・コバーン。
今年の助演男優賞は広範に渡り、新人から、ビッグスターまで、少年から大人までノミネートされたと紹介。
エディ・アルバート(ふたり自身)/ジェームズ・カーン(ゴッドファーザー)/ロバート・デュバル(ゴッドファーザー)/ ジョエル・グレイ(キャバレー)/アル・パチーノ(ゴッドファーザー)

受賞者はジョエル・グレイ(キャバレー)。
【受賞スピーチ・意訳】
これがとんでもないスリルではないとは、誰にも言えないでしょう。いつでも多くの人々に恵まれ、ここでは全ての人に感謝します。まず、すべてを始めてくれたハル・プリンスに感謝します。次に、マーティン・バウム、マニー・ウルフ、サイ・フュアー。ボブ・フォッシー、その贈り物は莫大で、私をとても助けてくれました。他のプレイヤー、その中にはリザ、マイケル、マリサがいます。特に、世界で最高の曲を書いたフレッド・エッブとジョン・カンダー。私はあなたに感謝します、そして私は我が妻に感謝します。君のすべてを愛しています。ありがとうございました。

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第45回アカデミー賞・主演女優賞スピーチ

プレゼンターはラクエル・ウェルチとジーン・ハックマン。
ありがとう愛するみんな。これは最高の瞬間の一つだ。私の喜びを歩きで表現したい、歓喜を示し犬となって、本当に犬のように、飛び跳ね駆け回り、皆にダイブしたい。でも、出来ないのは去年の受賞スピーチ以来、家具のように動くなと求められているからだと言い、ノミネート者を紹介。
ライザ・ミネリ(キャバレー)/ダイアナ・ロス(ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実)/マギー・スミス(Travels with My Aunt)/シシリー・タイソン(サウンダー)/リブ・ウルマン(移民者たち「原題:The Emigrants」)

受賞者はライザ・ミネリ(キャバレー)。
【受賞スピーチ・意訳】
ありがとうございます。大変感謝します。『キャバレー』の映画を作ることは、私の人生で最も幸せな時の1つでした。それに関係するすべての人、特に美術スタッフ、フォッシー氏、フレッド・エッブとジョン・カンダーに感謝します。そして、この賞を頂けて感謝します。皆様は私をとても幸せにしてくれました。
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第45回アカデミー賞・主演男優賞スピーチ/事件A

プレゼンターはリブ・ウルマンとロジャー・ムーア。
ノミネート者を紹介。
ライザ・ミネリ(キャバレー)/ダイアナ・ロス(ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実)/マギー・スミス(Travels with My Aunt)/シシリー・タイソン(サウンダー)/リブ・ウルマン(移民者たち (原題:The Emigrants))
受賞者はマーロン・ブランド。
代理出席サチーン・リトルフェザーにプレゼンターのロジャー・ムーアがオスカー像を差し出すが、受け取りを拒否した。
【マーロン・ブランド受賞スピーチ・意訳】
代理サチーン・リトルフェザー:こんにちは。私の名前はサチーン・リトルフェザーです。私はアパッチです。私は全米先住民族イメージ向上委員会の会長です。私は今夜マーロン・ブランドの代理です。彼の依頼は非常に長いスピーチを皆さんに伝えることです。それを今現在、限られた時間で私がここで共有することはできませんが、幸いなことにマスコミを通じ、後ほど皆さんにお伝えします。彼は非常に残念ながら、この寛大な賞を受け入れることができません。その理由は、今日の映画産業によるアメリカインディアンの扱いです。失礼ですが。テレビの映画再放送、および最近のウンデッド・ニー事件(白人によるインディアンへの残虐行為)です。私は今夜、その場に立たないことで、我々が将来、我等の心と我等の理解が愛と寛大さと出会うことを願っています。マーロン・ブランドに代わって感謝します。
マーロン・ブランドはネイティブ・アメリカンに対する、映画界の扱いや、アメリカ社会における差別を糾弾するため、男優賞の受賞を拒否した。
関連レビュー:マーロン・ブランドの主演作
映画『サヨナラ/SAYONARA』
日本娘とアメリカ将校の恋
日本人俳優で史上ただ一人のアカデミー賞ウィナー

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第45回アカデミー賞・監督賞スピーチ

プレゼンターはジュリー・アンドリュース、ジョージ・スティーブンスジュリー・アンドリュースは監督スティーブンスに自分の監督作でどれがベストかと訊ねると、スティーブンスは出演映画でどの監督が一番だったと聞き返し、答えられない質問だと知ったジューリーは笑う、ノミネート者を発表。
ボブ・フォッシー(キャバレー)/ジョン・ブアマン(脱出)/ヤン・トロエル(移民者たち/原題:The Emigrants)/フランシス・フォード・コッポラ(ゴッドファーザー)/ジョセフ・L・マンキウィッツ(探偵スルース)
ジュリー・アンドリュースは私が読むより、ジョージ・スティーブンスが読み上げるほうが受賞者にとって価値があると、発表を任せた。
受賞者はボブ・フォッシー(キャバレー)
【受賞スピーチ・意訳】
ボブ・フォッシー:
ありがとう。どうもありがとうございました。感謝します。私がここに立てているのは、コッポラやマンキーウィッツがまだ現れていないためかと、ちょっとクリント・イーストウッド(オープニングでチャールトン・へストンの遅れで代役に立った)のような気持ちだと言わなければなりません。しかし、性格的にとして悲観主義者で皮肉屋であるため、ここ両日私に起こった、これや他のいくつかの素晴らしいことは、私をある種の希望に満ちた楽え観主義者に変え、私の人生を台無しにするかもしれません。
感謝する人はたくさんいます。たくさんの名前を聞いたことがありますが、それを言うことは私にとって重要であり、明日はいくつかの名前を見逃して後悔することになると確信しています。もちろん、ライザ、ジョエル、マイケルヨーク、マリサベレンスン、マーティバウム、マニーウルフ、カンダー&エッブ。ダググリーンという名の素晴らしい人物。グウェン・ヴァードンという名の私の親愛なる友人。また、私が多くの議論を繰り広げたプロデューサーのサイ・フュアーについても触れておきたいと思います。しかし、こんな夜には、皆に愛情を抱き始める。感謝します。
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第89回アカデミー賞・作品賞スピーチ


プレゼンターはクリント・イーストウッド。
ジョン・ウェインの映画で撃たれた全てのカウボーイになり代わってプレゼンターを務める。全ての候補作を見たが、どれも素晴らしく、違いが際立っていたと、各作品に言及し素晴らしい映画だとして、ノミネート者を紹介。
キャバレー/脱出/移民者たち/ゴッドファーザー/サウンダー
受賞作はゴッドファーザー。

【ゴッドファーザー受賞スピーチ・意訳】
アルバート・S・ルーディー:
今、失敗しないように!少し緊張しています。ニューヨークは真夜中過ぎで、親戚の何人かが寝たがってるので、この2つをすばやく行います。
他の皆と同じように、感謝に値する人がたくさんいます。ボブ・エヴァンス、時間と創造性の中でスタジオ所長より多を与えてくれた。この映画を売って母を金持ちにする勇気と想像力を持っていたフランク・ヤブランス。映画に資金を提供する勇気があったチャーリー・ブラドルン、私は狂気との境界線だと推測します。そしてずっと友達だったピーター・バート。
そして、最後に、何百万人もの人々がそこにいて、映画を愛し、映画を作りたいと願い、これを見たい人たちがいるのは不思議なことです。アメリカには映画ビジネスが必要であり、映画ビジネスにはアメリカが必要です。良い映画には良い視聴者が必要なので、良い視聴者には良い映画が必要です。私たち全員が、少なくとも私が望んでいるアメリカンドリームは、これに代表されます(オスカーを上げる)。もし我々が働こうと思い、夢を持って、これを手に入れようとするなら、それは誰でも可能です。大変感謝しています。
関連レビュー:オスカー作品賞獲得のネオ・クラッシック映画
映画『ゴッドファーザー』
イタリア・マフィアの闘いを描く古典的傑作!
イタリア系移民の苦闘と家長の行方とは?


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第89回アカデミー賞・脚色賞スピーチ


プレゼンターはジャック・レモン。
【大意】この世を去った、記憶に残り、時代を反映した、我々に多くのギフトと才能を与えてくれた、この場の全ての者が感謝すべき作家がいる。比すべき者のないノエル・カワード氏だと語り拍手を浴びた(授賞式前日ノエル・カワードは死去)
ノミネート者を紹介。
ジェイ・プレッソン・アレン(キャバレー)/ ベント・フォルスランド、ヤン・トロエル(移民者たち)/ フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ(ゴッドファーザー)/ ジュリアス・J・エプスタイン(おかしな結婚)/ ロン・エルダー三世(サウンダー)
受賞は『ゴッドファーザー』。

【受賞スピーチ・意訳】
ドロシー・アンプーゾ:私の父は、この素晴らしい名誉を、アカデミー協会に感謝していると思います。
私は父に感謝したいと思います。そして、私は彼がこの場に居れて、彼自身がこの名誉を完全に受けとれたら良かったと思っています。どうもありがとうございました。

フランシス・フォード・コッポラ:
私がここに到着したとき、私がここに来ても何も言う準備をしてなかったので、とても神経質になりました。そして約40分後に何か言うことを考えたのですが、しかし、ここに来てそれを言えなくなってしまったので、私の緊張が始まってます。そして、それが何だったにしても、私はそれを忘れてしまいました。
最初に、ピーター・バートに感謝したいと思います。私のこの仕事の最初から助けてくれ、サンフランシスコの素晴らしい、ロマンチックな資金獲得の冒険から救ってくれ、生き延びさせてくれた。それから信頼を込めて、私はマーロンとアル・パチーノの非常に美しい庭のシーンを書いたボブ・タウンに感謝したいと思います。それがボブ・タウンのシーンでした。そして最後に、ボブ・フォスを祝意を表したいと思います。また、監督が獲得できる最高の賞は、彼の一番の友、親愛なる仲間、俳優である3人、ジミー・カーン、アル・パチーノ、ボビー・デュバルが同じカテゴリで、ノミネートされたことです。どうもありがとうございました。
関連レビュー:コッポラが脚本を書いた作品
映画『華麗なるギャツビー』
米文学の代表作をロバートレッドフォード主演で描く
アメリカ社会の夢と挫折を描く

第45回アカデミー賞・名誉賞

エドワードG.ロビンソン


プレゼンターはチャールトン・ヘストン。
(賞名を読み上げる)俳優、芸術のパトロン、そして献身的な市民として偉大な功績を残した、復活(ルネッサンス)の男。彼が愛する業界の友人から。エドワードG.ロビンソン。


【受賞スピーチ・意訳】
ありがとう、チャック。私の夫は彼が今夜名誉を与えられることを知っていて、彼は彼の感謝を準備しました。彼の書いたものを読ませていただいても良いですか。(読み上げる)「この男の人生でこれ以上の時は決して迎えた事はなかった。もっと前に迎えていたら、私に深い感情を呼び起こしただろう。それでも、今ほど深くはない。私はとても感謝している。私の人生の仲間であった、豊かで、暖かく、創造的で、才能があり、親密な同僚。どれほどあなた方は寛大な存在なのですか?」エディに感謝します。(エドワードG.ロビンソンは1973年1月26日に逝去)
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【名誉賞他一名:チャールズS.ボレン】
業界の啓蒙された労使関係の38年間のリーダーであり、差別のない方針の設計者であるチャールズS.ボレンに。映画で働くすべての人の敬意と愛情を込めて。


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第45回アカデミー賞・各賞結果

賞名受賞ノミネート
脚本賞ジェレミー・ラーナー(候補者ビル・マッケイ)ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール(ブルジョワジーの秘かな愉しみ)/テレンス・マックロイ、クリス・クラーク、スザンヌ・ド・パッシー(ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実)/ルイ・マル(好奇心)/カール・フォアマン(戦争と冒険)
長編ドキュメンタリー賞MarjoeドキュメンタリーマルコムX(原題:Malcolm X)/シャロン・テート殺人事件(原題:Manson)/Marjoe/The Silent Revolution
外国語映画賞 ブルジョワジーの秘かな愉しみ(フランス)A zori zdes tikhie(The Dawns Here are Quiet)(ロシア))/Ani Ohev Otach Rosa(I Love You Rosa)(イスラエル)/Mi querida senoritar(My Dearest Senorita)(スペイン)/Nybyggarna (The New Land)(スウェーデン)
撮影賞キャバレー バタフライはフリー/ポセイドン・アドベンチャー/1776/Travels with My Aunt
編集賞キャバレー脱出(1972・アメリカ)/ゴッドファーザー/ホット・ロック/ポセイドン・アドベンチャー
編曲・歌曲賞キャバレービリー・ホリデイ物語 奇妙な果実/ラ・マンチャの男
作曲賞(ドラマ)ライムライトロバート・アルトマンのイメージズ/Napoleon and Samantha/ポセイドン・アドベンチャー/探偵スルース
衣装デザイン賞Travels with My Auntゴッドファーザー/ビリー・ホリデイ物語 奇妙な果実/ポセイドン・アドベンチャー/戦争と冒険
美術賞キャバレービリー・ホリデイ物語 奇妙な果実/ポセイドン・アドベンチャー/Travels with My Aunt/戦争と冒険
音響賞キャバレーバタフライはフリー/候補者ビル・マッケイ/ゴッドファーザー/ポセイドン・アドベンチャー
主題歌賞“The Morning After”(ポセイドン・アドベンチャー)“Ben”(ベン)/“Come Follow, Follow Me”(The Little Ark)/“Marmalade, Molasses & Honey”(ロイ・ビーン)/“Strange Are The Ways Of Love”(The Stepmother)
短編実写賞Norman Rockwell's World...An American DreamFrog Story/Solo
短編アニメーション賞 A Christmas CarolKama Sutra Rides Again/Tup Tup
短編ドキュメンタリー賞This Tiny WorldHundertwasser's Rainy Day/K-Z/Selling Out/The Tide of Traffic
特別業績賞(視覚効果)ポセイドン・アドベンチャー
ジーン・ハーショルト友愛賞ロザリンド・ラッセル




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2020年10月22日

名作映画『ゴッドファーザー』第1作!この映画は暴力賛美なのか?/感想・解説・考察・簡単あらすじ

映画『ゴッドファーザー』(感想・解説 編)

原題 The Godfather
製作国 アメリカ
製作年 1972
上映時間 177分
監督 フランシス・フォード・コッポラ
脚本 フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ
原作 マリオ・プーゾ


評価:★★★★★ 5.0点



この映画のもつ、重厚な骨格と品格に打たれる。

しかし、発表当時より犯罪組織イタリアン・マフィアを好意的に描きすぎる、これは「暴力礼賛」だとのの批判を受けていた。

しかし、その過激な暴力とマフイア礼賛には、必然的理由があったとも思える・・・・・
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<目次>
映画『ゴッドファーザー』簡単あらすじ
映画『ゴッドファーザー』予告・出演者
映画『ゴッドファーザー』感想
映画『ゴッドファーザー』解説・考察strong>
映画『ゴッドファーザー』ネタバレ
映画『ゴッドファーザー』結末

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映画『ゴッドファーザー』簡潔あらすじ

ニューヨーク・マフイアのドン、ビトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の娘コニー(タリア・シャイア)が結婚し、華麗な結婚披露宴が開かれている。長男のソニー(ジェームズ・カーン)、次男のフレド(ジョン・カザール)、養子となったトム・ハーゲン(ロバート・デュヴァル)、ベトナム戦争から戻った三男のマイケル(アル・パチーノ)と、恋人のケイ(ダイアン・キートン)が揃って写真に納まった。
しかし、コルレオーネ一家は過酷なマフィアの抗争に突入し、ドンは襲撃を受け病院で生死の境をさまよう。ファミリーの危機に、犯罪に関わらなかった3男マイケルも、銃を取り敵を射殺した。しかし敵の反撃は、シシリーに逃げたマイケルの身辺に迫り、長男ソニーも殺されてしまう。傷の癒えたビトーは、それを知って、マイケルを守るためニューヨーク5大ファミリーと手打ちをすると、マイケルにドンの座を譲り引退した。そしてマイケルの戦いが始まる・・・・・・
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映画『ゴッドファーザー』予告

映画『ゴッドファーザー』出演者

ヴィトー・コルレオーネ(マーロン・ブランド)/ マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)/ソニー・コルレオーネ(ジェームズ・カーン)/フレド・コルレオーネ(ジョン・カザール)/トム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)/ケイ・アダムス(ダイアン・キートン)/コニー・コルレオーネ(タリア・シャイア)/サル・テッシオ(エイブ・ヴィゴダ)/マクラウスキー警部(スターリング・ヘイドン)/アポロニア(シモネッタ・ステファネッリ)/カルロ・リッツィ(ジャンニ・ルッソ)

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映画『ゴッドファーザー』感想


かつて家長という言葉があった。
家族の頂点に立ち、あらゆる事柄に絶対的決定権を持ち、同時にすべての責任を負うのである。

マーロン・ブランド演じるドン、ヴィトー・コルレオーネは、家長であった。

イタリアからアメリカ合衆国への移民は、1880年代に故国で居場所を失ったか、貧窮のため仕事を求めて海を渡った者たちだった。
イタリア系アメリカ人(イタリアけいアメリカじん、英語:Italian American 、イタリア語:Italoamericano )は、イタリア出身者かその子孫で、アメリカ合衆国の国籍を持つ人々のこと。
他のヨーロッパ系移民に比べてイタリア系移民は比較的少数派であり、合衆国の人口全体の約5.9%にあたる1780万人ほどである。
多くは1880年代からの移民である。イタリア統一が達成された後、その母体となったサルデーニャ・ピエモンテ王国の人材(ピエモンテ閥)を中心とした統治体制において、旧両シチリア王国に属したイタリア南部や島嶼部の住民は冷遇される日々を送っていた。ブリガンタッジョと呼ばれる南部での反乱や山賊行為に対する激しい鎮圧を経て、一層に困窮したナポリ地方やカラブリア半島、シチリア島の人々を中心に北米への大規模移民が始まった。(wikipediaより)

当時のアメリカ社会において、イタリアからの移民は貧しく英語もしゃべれない、最下層の厄介者とみなされていた。
それは現代日本における、アジア圏、南米諸国からの出稼ぎ労働者に対する、日本人視線とどこか共通するものかもしれない。

それは、現代アメリカでも生じている、マイノリティーに対する蔑視でもあるだろう。
関連レビュー:アメリカ移民の歴史
映画『グラン・トリノ』
アメリカ合衆国の移民の苦闘と希望
クリント・イーストウッド監督・主演作品

彼ら当時のイタリア系移民者は、周囲の冷たい視線から逃れ、必然的に社会の片隅により固まり、従来の住民たちに邪魔にされながら生きていかなくてはならない。

しかもイチかバチかの活路を移民に求めた彼らは、自らの国で貧困に喘いでいた者が多かった事を考えれば、たとえアメリカに渡った所で、やはり経済的な困窮から逃れられるはずもない。
しかも遅れてアメリカに来た彼らであれば、割のいい仕事はもちろん、警官や消防士など、当時は汚れ仕事と見られた職業すら、最早残っていなかったのである。

同時期にアメリカに渡った、ユダヤ人達はスキマ産業を求めて、当時は下等な仕事と見られていた映画産業に活路を見出しハリウッド映画産業を隆盛に導く成功を収めた。
関連レビュー:ユダヤ人のハリウッド支配とは?
映画『紳士協定』

ユダヤ人差別問題を取り上げた問題作!
エリア・カザン監督の第20回アカデミー作品賞受賞作

そしてイタリア系移民が見出した、そんなスキマ産業が密造酒づくりなど非合法な犯罪シンジケートだったのである。
遅れてアメリカ大陸に到着したマイノリティーである彼らが、生きるために、家族を守るため、法を犯すことも厭わず、必死で活路を求める中でドン・コルレオーネは生みだされたのだ。
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そう考えるとき、マフィア同士の抗争というのは、少ないパイの奪い合いをせざるを得なかった、イタリア系移民たちの哀しき、共食いだったに違いない。
ヴィトー・コルレオーネはドン・コルレオーネに、なりたくてなったのでは無い。
家長の責任として、ファミリーを守るため、否応なくドン・コルレオーネに、ならざるを得なかったのである。
では2代目のドン、マイケルはどうであったろう。

マイケルもファミリー守るために、戦わざるを得なかったのだろうか?
私にはそうは思えない。
組織が拡大しても、家族は一人また一人と消えていき、紐帯は弱くなり続ける。

反面、支配する者とされる者の権力構造だけが、強くなっていく。
結局、マイケルは父親のように偉大な家長になる事に失敗してしまった。

たぶん、マイケルが愛し憧れていたのは、偉大な父だったのだと思う。
愛する父に近づき、父を越えようとしてあがき続ける姿は、痛々しくすらある。

そして、このマイケルの失敗=「現代社会における家族という紐帯の脆弱性」は、「家族の結びつきの強さと、貧困・苦難が比例する」という図式が在るとすれば、現代の平和で裕福な社会においては、必然的に家族という集団自体が、相対的に価値を喪失していかざるを得まい。
すでに「家長」と言う言葉を聞かなくなったのも、そんな理由によるだろう。

この「家長」に代表される「家族の紐帯」に、最もノスタルジーを持つ者達こそ「イタリア人」であると、一本でもイタリア映画を見れば納得するはずだ。

イタリア系アメリカ人のコッポラ監督は、イタリア映画の伝統にのっとった映像と、音楽をことさら印象付ける事で、過去の家長と格闘する、現代の父親達の悲哀を描いたように思える。

また、世代を経るにつれ「家族」が失われていく様は、アメリカに生活していく中で故郷「イタリア」を喪失していく悲しみをも、同時に表しているのではあるまいか・・・・・・
関連レビュー:「生地=聖地」を離れる者達の哀しみ。
『天国の約束』
イタリア系アメリカ人社会をノスタルジックに描く
アル・パチーノ主演の、もう一つの『ゴッドファーザー』

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映画『ゴッドファーザー』解説

暴力礼賛の批判に関する考察

この映画は、発表当時から、マフィアという組織犯罪の罪を責めずに、むしろ礼賛しているのではないかとの批判があった。

しかし映画というメディアが、世界に登場するとほぼ同時に『大列車強盗』など、犯罪者を描いた悪漢映画とも呼ぶべき作品が人気となった。
大衆芸術としての映画は、西部劇のアウトローや、ギャング映画を、ドル箱として成長して来たのである。
<『大列車強盗』予告>

特に禁酒法の影響から、密造酒で潤うアル・カポネに代表されるマフィア・ギャング達が、激しい抗争を現実に繰り広げていた時代には、ワーナー・ブラザースは、そこに眼をつけ数々のギャング映画を製作しヒットを飛ばした。

その当時に人気だったギャング・スター俳優に、エドワード・G・ロビンソンや、ジェームズ・キャグニーやポール・ムニ、ジョージ・ラフトなどがいる。
<ジェームズ・キャグニー『民衆の敵』予告>

しかし、それらの悪漢映画にしても、最後には「勧善懲悪」が描かれ、悪が滅びるストーリーとして語られていた。

そんな悪が滅びる物語ながら、1930年代のギャングを主人公に据えた映画に対し「暴力礼賛」の批判が浴びせられた。
その声を反映して、アメリカの映画倫理規定「ヘイズコード」の制定により、公序良俗に則った「勧善懲悪」の度合いは更に強められ、ギャング映画は姿を消す。
関連レビュー:アメリカ映画と「ヘイズコード」
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実際、「ヘイズコード」が有名無実となる1960年代までは、悪人や犯罪、更には恋愛描写であっても、刺激的な表現には様々な言い訳を用いたりしたのである。
アメリカ映画:1946年
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その「ヘイズコード」が効力を喪った事の背景には、TVが登場し映画自体の興行収入が落ち込む中、海外の映画が、例えばイタリアのマカロニ・ウェスタンなどが「暴力的」で「反モラル」表現でヒットを飛ばしていたことが、ハリウッド映画界の危機感をあおり規制を緩めざるを得なかったと言われる。

そんな、アメリカ映画界に規制が弱まった時に登場したのが、アメリカン・ニューシネマだった。
その映画の旧来の「倫理観」に捕らわれない、新たな作品群の登場は、映画が「万人の娯楽」の座をTVに明け渡し、特定の観客にターゲットを絞ったことの必然だった。
そして、ハリウッド・メジャー・スタジオに取って代わって、新たな映画を産み出したのは、独立系プロダクションのTV出身のクリエーター達だった。
関連レビュー:60年代とアメリカン・ニュー・シネマ
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その暴力や反社会的な主張を含んだ新たな映画は、ベトナム戦争が重くのしかかる、ティーンエイジャーや20代の絶大な支持を得る。

そうしたアメリカ映画界の状況下で登場したのが、この『ゴッドファーザー』なのである。
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そして、この反社会的な暴力集団の映画は、アメリカン・ニュー・シネマの観客層を越えて、広い世代にアピールした。
その要因を上げれば、まずは血なまぐさい暴力シーンの過激さが有るだろう。
それは、アメリカン・ニューシネマの開幕を告げる『俺たちに明日はない』のラストシーンが、何度も繰り広げられるような凄惨なものだ。
その過激な暴力と、反比例するような家族愛の崇高さを描いている。

そのアンビバレンツなメッセージとは、考えてみれば当時のアメリカ社会の現実を反映したものだとも思える。
この映画の暴力は1972年当時のベトナム戦争という暴力行為を思わせるし、その家族愛とは国家愛を想起させる。

ベトナム戦争を続けるべきか、辞めるべきかを巡り、アメリカ国内は分断され、更には「公民権運動」を巡り人種間対立も増していた。
その内患外憂の状況は、まるで敵に取り囲まれたコルレオーネ・ファミリーそのものではないか。

そして、映画の中でドン・コルレオーネは言う「お互いに子供たちを喪った。これ以上血を流すことは止めよう」と・・・・・
それは、自国の若者たちの命をこれ以上散らすのかと、暗に諫めているように響く。

この映画が製作された3年後の1975年に、ベトナム戦争は終結する。

しかし、その子供マイケルが繰り広げる戦争は、家族とその誇りを守るためというより、自らの利益のためであり、それもアメリカ社会のその後の戦争を反映しているように思える。



posted by ヒラヒ・S at 17:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする