2017年12月12日

映画『シービスケット』伝説のサラブレッドの感動実話/感想・ネタバレ・あらすじ・ラスト・解説

時代を担いしアイドル

原題 Seabiscuit
製作国 アメリカ
製作年 2003
上映時間 141分
監督 ゲイリー・ロス
脚色 ゲイリー・ロス
原作 ローラ・ヒレンブランド



評価:★★★☆  3.5点



ある時代が必然的に欲する希望というものが、現実の姿を持って現れる事があります。
それを人々は「アイドル」と呼ぶのではないでしょうか・・・・・・
この映画のサラブレッド「シービスケット」も、まったく同じ作用を、大恐慌の打ちひしがれたアメリカ国民に対して及ぼしたように思いました。
この映画は、惜しくも受賞はならなかったものの、第76回アカデミー賞では作品賞を初め7部門にノミネートされた評価の高い作品です。

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映画『シービスケット』予告


映画『シービスケット』出演者

レッド・ポラード(トビー・マグワイア)/チャールズ・スチュワート・ハワード(ジェフ・ブリッジス)/トム・スミス(クリス・クーパー)/マーセラ・ハワード(エリザベス・バンクス)/ジョージ・"アイスマン"・ウルフ(ゲイリー・スティーヴンス)/"ティックトック"マクグローリン(ウィリアム・H・メイシー)/サム(カール・M・クレイグ)/アニー・ハワード(ヴァレリー・マハフェイ)/ミスター・ポラード(ミシェル・O・ネイル)/ミセス・ポラード(アニー・コーリー)


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映画『シービスケット』あらすじ



1910年代初頭のアメリカ。
チャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)は時代の波に乗り自動車ディーラーとして、西海岸で成功した。sea-left.png
しかしハワードは、息子フランキーを若くして自動車事故で失い、妻もその死で精神を病み彼のもとを去って行った。


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同じ頃、馬の調教にかけては熟練の腕を持つカウボーイ、トム・スミス(クリス・クーパー)は、モータリゼーションによって馬が車にとって代わられるなかで、生きる為に西部劇の馬の調教師として旅をしていた。


また一方、カナダの16歳の少年ジョニー・ポラードは、大恐慌により無一文となった家族の夢を背負って、騎手としての才能を武器に、草競馬の世界に入っていった。
赤毛のポラードは愛称"レッド"と呼ばれ、競馬騎手として闘い始めた。
しかし6年が経過し、レッド(トビー・マグアイア)は地方競馬のレースに出場し続けていたが、賞金はわずかでボクシングの試合でアルバイト代を稼ぐ始末だった。
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時は流れ、1933年メキシコのティファナ競馬場は、禁酒法下の米国から歓楽を求めて大勢の男達が押しかけていた。
sea-mr&mrs.jpgそこには、離婚したハワードもいた。
しかし彼は、そこでマーセラ(エリザベス・バンクス)という美女と、運命的に出会い、電撃的に結婚した。
馬の好きなマーセラと暮らすうち、ハワードは競馬の世界に興味を持つようになる。

そんなある日、ハワードは馬を治療しているスミスに出会う。
スミスの馬に接する様子を見て、彼は馬の調教師としてスミスを雇い入れた。

そして二人は数ヵ月後、ニューヨークのサラトガ競馬場で、シービスケットと名付けられた暴れ馬に出会った。
スミスは気性の荒いその馬に可能性を感じ、ハワードにシービスケットの購入を求めた。
しかしスミスは、シービスケットが暴れるのを抑えられる騎手がおらず、調教が出来なかった。
そんな時スミスは、競馬場で喧嘩していた騎手レッドを発見し、スミスは似た者同士と見て相性を確かめた。
もくろみ通り、シービスケットはレッドの騎乗を許した。
こうして、3人の男と一頭の小柄なサラブレットが運命で結ばれた。
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シービスケットの初戦は、レッドの勇み足で敗退した。
しかし、レッドがレース展開を作戦どおり運ぶようになってから、シービスケットの連勝が始まった。
最初の勝利

【意訳】そうだ。弾んでるぞ。大丈夫だ相棒。俺達は今いい感じだ。いいぞ相棒。俺達は良い感じだ。まったく心配ない。時間はたっぷりあるぞ相棒。そうだ。弾んでる。いいぞ、気楽に、その調子だ相棒。その調子。何を考えてる相棒?準備はいいか?俺とお前。さあ行くぞ相棒!行こう!

シービスケットの勝利は、いつしか大恐慌の苦難に耐える、アメリカ庶民の希望の光となった。
更にハワードは、史上最高額の賞金10万ドルのレースを決行するが、騎手レッドはボクシング時代の後遺症で右目が失明しており、その死角を突かれ敗北を喫する。

ハワードは、再起を期して最強の敵との対決を企画した。
その頃アメリカ競馬史上4頭目の三冠馬ウォーアドミラルは、血統といい実績といい申し分なく、東部の帝王として君臨していた。
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人々がその対決に期待を募らせる中、ハワーズが呼びかけても、ウォーアドミラルのオーナーである大富豪のリドルは、その一対一の対決(マッチレース)に応じなかった。

ハワーズは諦めず、シービスケットを強敵と連戦させ、全米をレース行脚し勝ち続けた。
そしてレース後の新聞やラジオのインタビューに答えて、ウォーアドミラルを挑発し続ける。
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ついに世間の声に抗し切れず、ウォーアドミラルの馬主リドルは、シービスケットの挑戦に応じると宣言した。

しかし、その時レッドに思わぬ運命が降りかかる・・・・・・・・

(ページ最下部にネタバレとラストがあります)

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映画『シービスケット』感想



ある時代が、必然的に欲する希望を体現する者を「アイドル」と呼ぶのだとすれば、この映画のシービスケットこそ、それではないでしょうか・・・・・・
 
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例えば、敗戦後の日本の希望は「力道山」でした。

アメリカの巨大なプロレスラーを倒す姿に、日本国民は自らの夢と希望を仮託し、力道山の活躍によって焼け野原を再建する活力を得たのです。

この映画のサラブレッド「シービスケット」も、まったく同じ作用を、大恐慌の打ちひしがれたアメリカ国民に対して及ぼしたように思いました。

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この馬の生い立ちや、倒れてもまた立ち上がる姿が、失業中の今日の食事もままならないアメリカ大衆達の、それでも前に進むのだという「魂」を、そのまま現していたからなのでしょう。

この大衆、時代が持つ集合的欲望が一つの形に収斂していく、その欲望を仮託された「シービスケット」の姿とは、映画における「スター」と同じ構造なのではないでしょうか。

そう考えたとき、この大恐慌の時代にマスメディアが発達したことと「アイドルの誕生」が無縁ではないように思えます。

新聞、ラジオ、そしてニュース映画が大衆に届く情報メディアとして成立したことで、名も無き庶民が自らの希望を托せる対象を、見いだし得る条件が整ったといえるでしょう。

そしてまた、エスタブリッシュメント=上流階級の欲望が暴走した果てに「大恐慌」が起こったと考えれば、金持ちの馬に「シービスケット」が勝つというのはもはや、民衆の復讐と呼ぶべきでしょう。


この映画はその「スター=シービスケット」の疾走する姿の燦然たる美しさによって、人々の夢が結実していく様子が感動的に描かれていると思います。

アメリカ庶民が大恐慌からいかに立ち直ったかが、丹念な時代考証とキャスティングによって感動的に表されていると思いました。

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映画『シービスケット』解説

大恐慌時代


この映画は1930年代の「大恐慌時代」を背景にした映画です。
実を言えば、その大恐慌の重苦しさというのは、その1930年代に撮られた映画にこそ滲み出ているように感じます。
下の二本は、決して社会派の映画ではなく、純然たる娯楽作でありながら現実の苦味が感じられ、本当に映画とは時代を反映する鏡だと思います。

関連レビュー:大恐慌時代製作の映画
1934年『或る夜の出来事』
世界初のラブコメ映画
ローマの休日の原型

関連レビュー:大恐慌時代製作の映画
1932年『グランドホテル』
世界初のオールスター映画
脚本の革新「グランドホテル様式」とは?


また、この『シービスケット』同様、大恐慌時代を背景にした映画があります。
関連レビュー:大恐慌時代を背景とした映画
『ペーパームーン』
ライアン・オニールとテータム・オニールの実の親子競演
アカデミー助演女優賞受賞作




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以下にはネタバレが含まれます

映画『シービスケット』解説

伝説の名馬シービスケット

シービスケット(Seabiscuit、1933年 - 1947年)は、アメリカ合衆国で生産・調教されたサラブレッドの競走馬である。1930年代のアメリカ競馬で競走生活を送っていた馬で、初期は不遇を託つものの、競走生活の終盤にはマッチレースで三冠馬を破るなどの活躍を見せた。のちの1958年にアメリカ競馬殿堂に加えられた。(wikipediaより)
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(実在モデル右から:ジョニー“レッド”・ポラード/ハワード夫妻/トム・スミス/ジョージ“アイスマン”・ウルフ)

映画『シービスケット』解説

世紀の一騎打ち

この映画のシービスケットとウォーアドミラルの「世紀の一戦」も、実話だけに映像が残っています。
<シービスケットVSウォーアドミラル>


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以降の文章に

映画『シービスケット』ネタバレあらすじ

があります。

(あらすじから)
世紀の一戦と言われた、シービスケットとウォーアドミラルのマッチレースが刻々と近づいて来る。
シービスケット陣営は秘策を練り、対戦準備を進めた。
しかし、そんな時、レッドが他の馬の調教中に落馬し、骨折し騎手としては再起不能だと宣告されてしまう。
レッドはマッチレースで勝ってほしいと、騎手仲間のジョージ・アイスマン・ウルフ(ゲイリー・スティーヴンス)を推薦した。
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そしていよいよ、1938年11月1日、ピムリコ競馬場でレースの火ぶたは切って落とされた。
満場の観客、ラジオの前で、人々が固唾を飲む中、見事にシービスケットが勝利を収めた。

しかしその後も、レースへと参戦し続けたシービスケットは、ついにレース中に右前脚を負傷した。
シービスケットも再起不能と診断されたが、安楽死を与えるのが忍び難いハワーズは、シービスケットを牧場に戻す事にした。
牧場では騎手ジョニーが待っていた。共に傷を負ったジョニーとシービスケットは少しづつリハビリを行う。
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そして奇跡的に、シービスケットは再びレースに復帰できるほどの回復を見せる。

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映画『シービスケット』ラスト・シーン


1940年、シービスケットの復帰戦が始まる。
その騎手として、足を引きずって歩いているジョニーが、ギブスを嵌めて乗ると言い張る。
周囲は危ぶむものの、本人の強い意志に打たれ、ハワードも認めた。
【意訳】(レッド・ナレーション)全ての人々が、我々が故障した馬を、治癒させたと思っていた。しかし違う。シービスケットが我々を再生したのだ。我々一人一人を。私は思う、ある意味、我々はお互いに治癒しあったのだ。

そしてシービスケットとジョニーは、2人の復帰戦で勝利を収めた。


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posted by ヒラヒ・S at 17:20| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月08日

映画『ペーパームーン』親子共演の現実とオニール家の崩壊/感想・解説・評価・トリビア

映画『ペーパームーン』(感想・解説 編)

原題 Paper moon
製作国 アメリカ
製作年 1973年
上映時間 103分
監督 ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本 アルヴィン・サージェント
原作 ジョー・デイヴィッド・ブラウン


評価:★★★   3.0点



この「大恐慌時代」を背景にした映画は、白黒の画面といい、詐欺をして金を稼ぐ所といい、チャップリンの名作『キッド』を思い出しました。
また、大人が子供を致し方なく連れて歩く、『グロリア』や『レオン』なども思い出させます。
いずれにしても評論家、一般ユーザーの双方から、高い評価を受けている作品です。
・・・・・・しかし、個人的印象としては、残念ながらいま一つ乗り切れませんでした。

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映画『ペーパームーン』予告


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映画『ペーパームーン』出演者

モーゼ・プレイ(ライアン・オニール)/アディ・ロギンス(テータム・オニール)/トリクシー・デライト(マデリーン・カーン)/ハーディン保安官(ジョン・ヒラーマン)/ジェス・ハーディン(島香裕)/イモジン(P・J・ジョンソン)/フロイド(バートン・ギリアム)/オリー(ジェシー・リー・フルトン)/牧師(ジェームズ・N・ハレル)/牧師の妻(リラ・ウォーターズ)/ロバートソン(ノーブル・ウィリンガム)/駅長(ジャック・ソーンダース)/ウェイトレス(ジョディ・ウィルバー)/パール・モーガン(リズ・ロス)/法執行官(エド・リード)/リボン店の店員(ドロシー・プライス)/エドナ(ドロシー・フォースター)
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映画『ペーパームーン』感想


ライアン・オニール演じる主人公と、一人の女の子(テータム・オニール=ライアン・オニールの実の娘)のロードゴーイングムービーです。

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その道中で繰り広げられる、騒動と二人の間に生まれる情愛を描いています。


しかし、う〜ん、なぜだろ〜なんだろ〜この食い足りないカンジ。

たとえばチャップリンの『キッド』だと、とってもウエットな、ハートウォーミングな物語なワケです。

別に『キッド』を引き合いに出さなくても、『レオン』でも『グロリア』でも、さらにはブラジルの『セントラル・ステーション』だって、子供と大人が旅をしていく物語となれば、たいてい大人が邪魔に思いつつも、最後には子供に愛情を示し、お互いにかけがえのない存在になっていくというのが物語の原型です。


そこには、真の親子の関係でなくとも、人としての情愛が描かれているからこそ「人情」話になると思うのです。
それは大げさに言えば、人の「性善」を語る物語としてあるのではないでしょうか。
しかし、この映画はその相互の感情の交流の表現が細やかではないというか、ぶっきらぼうな印象を個人的には受けてしまったのです。
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本来であれば、徐々に親密になる描写が必要だと思うのですが、ほんとに少ないどころか、あえて描いてないような気さえします・・・・・・

物語中では、この主人公とこの娘が実の親子かどうか、不明確なまま物語は進みます。
娘の方は父親であって欲しいと願っていて、主人公は父親である事を認めまいとして強く冷たく当たります。

それゆえこの二人が本当に仲良くなっているのかと、心配になってしまいます。

お互いそっぽを向いていても、求め合っているという実感を、映画から私は受け取れませんでした。
そのお互いに相手を必要としているのだという、描写の少なさゆえに人情話としての説得力が落ちたように、個人的には感じたのです。


そこで作品中に、この二人の間に生まれたはずの愛情が、十分に表現されなかったワケをイロイロ考えてみたのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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たぶんこの説得力の無さは、本当の親子で共演したせいではないかと邪推しています。

それは本当の親子であるがゆえに、本当の親子だとは思いたくない役を演じるときに、ドラマとして必要とされる以上に「冷たい」演技がなされてしまったためではないかと思ったのです・・・・・・・

それとも観客としても、本当は親子という情報を含んで見たとすれば、この醒めた描き方がちょうどいい目分量となるのでしょうか・・・・・
個人的には実の親子だという映画外の情報を含んで、この作品を見る事はしないので、正直良く判断できません・・・・・・
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後年のインタビューでは「アイ・ラブ・ユー」と脚本に書いてあっても、恥ずかしくて言えなくて、言ったものの最終的にカットされたとテータムは言っています。

そんな風に映画に現実世界が影響をしているのだとすれば、勿体ない気がします。
いずれにしても個人的にはやはりもうチョット、泣かせが入ったほうが説得力があるような気がするなぁという・・・

でも、どのレビューサイトを見ても高い評価の作品ですので、ぜひ見てください。
私のレビューが的外れである事を、祈って止みません。

関連レビュー:疑似母子の傑作ロードムービー
『グロリア』
ジョン・カサベテス監督の任侠映画
映画『レオン』の原典

関連レビュー:疑似父娘の暗殺者
『レオン』
リュック・ベンソン監督のアクション映画
ジャン・レノとナタリー・ポートマン出演




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映画『ペーパームーン』解説

映画『ペーパームーン』のトリビア


アディーのタバコの正体!


この映画内で、当時9歳のテータムオニール扮するアディーが、しょっちゅうタバコを吸うシーンが出てきて、心配になります。
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しかしテータム・オニールが吸っていたタバコは、ニコチンを含まない無害の物だったそうです。
父親のライアンはニューヨーク・タイムスに答えて、テータムがタバコ依存に決してならないだろうと語っています。
なぜなら、そのタバコはレタスを原料にしていて、彼女に吐き気を催させるものだったからです。

ボグダノビッチ監督とオーソン・ウェルズ


ボグダノビッチ監督を調べてみると、本当に映画を愛しているのだと、頭が下がる思いがします。
年間400本見たとか、生涯7000本の映画を見たとかいうのは序の口で、役者としてメソッド演技の教祖的な教師ステラ・アドラー女史に師事し演技を学び役者としてTVドラマに出ています。
更に映画評論家として名をなし、伝説の監督ジョン・フォードやハワード・ホークス、ジョン・ヒューストンにインタビューし、本を出版しています。
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(左から:ジョン・ヒューストン、オーソン・ウェルズ、ピーター・ボグダノビッチ)

更に伝説の俳優オーソン・ウェルズの伝記「オーソン・ウェルズ―その半生を語る」を著し、以来友人としての関係を保ち続け、この映画『ペーパームーン』にも貴重なアドバイスを受けたようです。
たとえば、映画の題名を『ペーパームーン』にしたのはオーソン・ウェルズが良いタイトルだと褒めたからだといいますし、また白黒撮影の際の忠告を聞き、赤いフィルターを使い高コントラストの映像にしたといいます。
そんな先輩を大事にするボグダノビッチは「偉大な先輩から聞いた知恵を、映画の形で還元できない自分」に罪悪感を感じていると語っています。
そんなボグダノビッチ監督に、一本でも多く映画を撮るチャンスが生まれればいいなと、願っています。

関連レビュー:オーソン・ウェルズの出演作品
映画『第三の男』
戦後のウィーンを舞台にしたクライム・サスペンス
ヨーロッパの空白を埋める第三の男


テータム・オニールの助演女優賞



この映画のテータムオニールが獲得した、10歳でのアカデミー賞のタイトルは、2017年現在でも破られていない、アカデミー賞最年少記録です。
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さらに、もう一つ、助演女優賞獲得者の映画内出演時間の最長記録でもあります。
何と、1時間40分の映画で、1時間6分58秒に渡り出ています。

演技経験も無かった彼女が、タバコで気持ち悪くなっても、出ずっぱりで頑張った甲斐あってのアカデミー賞受賞でしたが・・・・・・・・・・
しかし、テータムの2005年出版の自伝『ペーパーライフ』によれば、この時の衝撃的な事件を書いています。

なんと父ライアン・オニールは自分がノミネートされていないのに怒って、テータムをパンチしたというのです。
ナンテ・・・・・可哀そうなテータム・・・・・・
さらにその本では、幼少期からの虐待や父の薬物依存や、自らもヘロイン中毒に陥った事実が赤裸々に語られています。

父ライアンと娘テータム、オニール家の確執



テータムの2005年の自伝『ペーパーライフ』以後、その家族の確執が世間に知られるようになりました。
そしてアメリカのTV番組の企画で、2011年6月から8月にかけて関係修復のドキュメンタリーショーに二人は出演し、確執を解消しようと努めています。
2011年6月〜8月『Ryan and Tatum:O'Neals』
【大意】2週間前に父と出会って、何が起こるか分からなかったとテータム。セラピストが目標を聞き、ライアンは家族が一つになる事と答え、テータムは真実の、もっと正直な関係を求めると言う。司会者は何があったかと尋ね、テータムは父に長い間多くを言われて、大きな影響があり、ドラッグに走った。父には悪いけどと語る。ライアンは事実だと認めて、過去に我々親子の間に問題があったと語る。テータムはその過去を父が認めるのは大変な努力が必要なはずだと言う。それでも父と一緒に暮らした家のことを考えれば、狂いそうになり、悪い記憶しかないと口にする。ライアンは、テータムが悪い所ばかり見て、良かった時のことを忘れてる。悪い時ばかりじゃないと語る。テータムは母が苦しんで、いい人生ではなかった事が悲しい、母にとって良い娘でなかったことも悲しいと言う。ライアンは彼女が幸福だったこともあると言いテータムが彼女を幸福にしたと言い、私達の家族が良かった時の事を話したいと言う。私は仕事が忙しく、混乱したことも有るが、愛を持っていたと語る。テータムが、どこに行っていたのかと反論し、ライアンは責任を全て自分のせいにするのはテータムにとって良くないと語る。責任は完全に認めるが、過去のことだ、終わった、もう起こってしまったと言う。司会者が休みを挟みましょうと告げる。

このTV番組によって、二人の関係は修復されたのでしょうか?
ライアンは言います・・・・・「この番組のせいで、二人の距離は更に開いた」と・・・・・・
しかし、関係修復の努力は今も続けているとも語っています・・・・・・・

いつの日か、この二人が出る映画「リアルムーン」を見る日が来ると信じています・・・・・・・

ペーパームーン写真



「ペーパー・ムーン」は、写真の背景としてアメリカで1900年代初頭に流行し始め、その古い写真は、ありし日のノスタルジーを見る者に感じさせます。
この「ペーパー・ムーン」が、どのようにして広まったかは不明瞭ですが、1903年にライト兄弟が飛行機で飛び、1910年にはハレー彗星の通過もあり、そんな出来事が天空に輝く月への関心を高めたという説もあります。
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実際の「ペーパー・ムーン」のポートレイトを見てみても、月と彗星が両方映っていることから、この時期の宇宙に対する人々の興味が反映されているのかもしれません。
この映画でも見られるように「ペーパー・ムーン」写真は、町のフェスティバルやアーケード、カーニバル、見本市などの、簡単な写真ブースで撮影することがよくありました。

そんな、手軽な「ペーパー・ムーン」ポートレイトには、庶民の気取らない歴史的な風俗が記録されているように思います。
下:『イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン』アビー・ガードナーのPV

写真は「ペーパー・ムーン」ポートレイト


名曲『イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン』



この上のミュージックビデオにある「ペーパームーン」の写真を歌った曲です。
1933年にハロルド・アーレンが作曲した流行歌です。
ノスタルジックでスィートで、今もジャズのスタンダードとして演奏し続けられています。
この曲が1933年の「大恐慌」の時期に歌われたというのも、信じれば救われる的な歌詞を考えれば深いものがあるようにも・・・・・
この映画で描かれた時代に流行った歌として、劇中歌となっています。

この歌の名演集をご紹介
この歌といえばこの人
ナット・キング・コール


その娘のナタリー・コールも引き継いでいます。


しかし、女性シンガーで言えばこの人。

エラ・フィッツジェラルドの貫禄の歌


日本代表で由紀さおり


最後は映画に敬意を示して、サウンドトラックから
Paul Whiteman & his Orchestra
(3分25秒ぐらいからNG集があります)

It’s Only A Paper Moon
Say, it's only a paper moon(いわば、それはただの紙の月)
Sailing over a cardboard sea(ダンボールの海を航海する)
But it wouldn't be make-believe(でも、それは信じていないから)
If you believed in me(もしあなたが私を信じてくれれば)
Yes, it's only a canvas sky(ええ、それはただのカンバスの空)
Hanging over a muslin tree(ぶら下がったモスリンの木)
But it wouldn't be make-believe(でも、それは信じていないから)
If you believed in me(もしあなたが私を信じてくれれば)
Without your love(あなたの愛がなければ)
It's a honky tonk parade(それは調子はずれなパレード)
Without your love(あなたの愛がなければ)
It's a melody played in a penny arcade(それは安遊園地のメロディー)






posted by ヒラヒ・S at 17:26| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月05日

映画『ペーパームーン』父と娘の珍道中・完全再現ストーリー/感想・ネタバレ・あらすじ・ラスト

映画『ペーパームーン』(ストーリー・あらすじ 編)

原題 Paper moon
製作国 アメリカ
製作年 1973年
上映時間 103分
監督 ピーター・ボグダノヴィッチ
脚本 アルヴィン・サージェント
原作 ジョー・デイヴィッド・ブラウン


評価:★★★   3.0点



白黒の画面といい、詐欺を働きながら金を稼いだりする所といい、チャップリンの名作コメディー「キッド」を思い出しました。
子供を連れた「ロード・ゴーイング・ムービー」として評論家、一般ユーザーの双方から、大変評価の高い作品です。

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映画『ペーパームーン』ストーリー・あらすじ



葬儀が営まれているところに、モーゼ(ライアン・オニール)はやって来た。
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彼と昔深い中にあった女性が、自動車事故で死んだのだ。

そこには、アディ(テイタム・オニール)という9つの娘がいた。
モーゼ(ライアン・オニール)は、牧師夫婦からアディの唯一の身寄り、ミズーリの叔母の家に届けるように頼まれた。

モーゼは同じ方向に旅立つと言ってしまった手前、いたしかたなく引き受けた。
まずモーゼは最初に、交通事故を起こした加害者側から、示談金200ドルを脅すように取り、その金で新車に買い替えた。
そして、アディに切符を買って、汽車でミズリーに向かえと言った。
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しかし、アディはモーゼが手にした200ドルは、私のお金だと主張する。

そして、その金を寄越さなければ汽車に乗らないと主張した。
アディーはモーゼが実の父だと疑っていたのだ。
モーゼは、身に覚えが無いと、父親であることを否定する。
Moon-.jpgすると、アディーは「父親でなければ200ドルを返せ、返さないなら警察に訴える」と脅す。
モーゼは、200ドルで車を買ってしまった手前、アディーを車にのせミズリーに向かい走り出した。



そんなモーゼの商売は、聖書を詐欺まがいの手で売りつける事だった。
やがて、それを見ていたアディも、片棒を担ぐようになり、非凡な詐欺の才能を見せる。
<詐欺の手口>

そして、ニセモノの父娘コンビの詐欺は、相手の警戒心を緩ませ、稼ぎも順調に増えて行った。
2人の間で喧嘩は絶えないが、それでも少しづつ心が通い合うようになった。

そんな2人がカーニバルへ寄り、アディは「ペーパー・ムーン=紙の月」に座って記念写真を撮る。
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モーゼに一緒に撮ろうと言ったのだが、彼は女性ストリッパーのミス・トリクシー・デライト(マデリーン・カーン)に夢中で、取り合わなかった。
そして、彼女と彼女の付き人イモジンという黒人少女が、旅の道連れになった。
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最初は我慢していたものの、ついに抑えきれなくなったアディは、トリクシーと一緒なら旅はしないと、ストライキをしてまで抵抗した。
そしてアディーは、ある日泊まったモーテルで、トリクシーが別の男と浮気するように画策した。
その現場を見たモーゼは、トリクシーと別れて、また2人きりの旅に戻った。

トリクーシ―と旅している間、ほとんど稼がなかったモーゼは、酒の密造屋を相手に詐欺行為を働く事を計画した。
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作戦は上手く行き、密造屋を出しぬき620ドルを巻き上げたかに思えたが、その騙した相手の弟が保安官で逮捕される。
保安官事務所で、さんざん殴られ、厳しい尋問を受けているモーゼを、アディーの機転で逃げ出すことができた。
moon-hit.jpg2人は途中車を乗り換えたりして、どうにかミズリー州にたどり着いた。
しかし、そこには保安官たちが待ち構えており、有り金全てを奪われてしまう。
傷つき落ち込むモーゼに、アディーはまた二人で聖書を売ろうと語りかける。

しかし、モーゼはある決心を固めていた・・・・・・・・・・

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映画『ペーパームーン』予告


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映画『ペーパームーン』出演者

モーゼ・プレイ(ライアン・オニール)/アディ・ロギンス(テータム・オニール)/トリクシー・デライト(マデリーン・カーン)/ハーディン保安官(ジョン・ヒラーマン)/ジェス・ハーディン( 島香裕)/イモジン(P・J・ジョンソン)/フロイド(バートン・ギリアム)/オリー(ジェシー・リー・フルトン)/牧師(ジェームズ・N・ハレル)/牧師の妻(リラ・ウォーターズ)/ロバートソン(ノーブル・ウィリンガム)/駅長(ジャック・ソーンダース)/ウェイトレス(ジョディ・ウィルバー)/パール・モーガン(リズ・ロス)/法執行官(エド・リード)/リボン店の店員(ドロシー・プライス)/エドナ(ドロシー・フォースター)
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映画『ペーパームーン』受賞歴

1974年開催・第46回アカデミー賞:助演女優賞テータム・オニール(史上最年少受賞)

プレゼンターはチャールズ・ブロンソンとその妻ジル・アイルランドで候補者を紹介
【意訳】私は私の監督ピーター・ボグダノビッチと私の父に全ての感謝を捧げます。ありがとう。
【祖父チャールズ・オニール・意訳】この子の祖父から感謝を、この子の父親からも感謝を、そしてもちろんテータムも感謝してます。
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以下の文章には

映画『ペーパームーン』ネタバレ

があります。

(あらすじから)
全ての金を奪われたモーゼ。
moon-house.jpg彼はアディを、ミズリーの叔母の家に届けることにした。
叔母の家は、小ぎれいで、アディの夢だったピアノもあった。
優しい叔母や叔父が、アディを暖かく迎えてくれる。

モーゼは1人、車に乗り込み煙草に火をつけた。
moon-photo.jpg放心したように煙草をふかすモーゼ。
その手には、フェスティバルで撮った「ペーパームーン」の写真。

そこには、アディーからモーゼへと記されていた。

煙草も吸い終わり、車を発進しようとしたモーゼ。
その眼が、バックミラーに吸い寄せられた。
白い道を走るアディーが徐々に大きくなってくる。

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映画『ペーパームーン』ラスト・シーン


車から降りたモーゼが、アディーを待ち構える。
moon-las.gifモーゼは帽子を叩きつけて怒った。
アディーは「モーゼ!まだ200ドル貸したままよ。」と返す。
その時、無人のトラックが動き出した。

それを見た2人は、慌てて車を追いかけた。
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2人が乗った車の前には、白い道がどこまでも続いていた。
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posted by ヒラヒ・S at 17:05| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする