2020年07月02日

古典映画『駅馬車』1939年のジョン・フォード監督の名作!再現ストーリー/詳しいあらすじ・解説・ネタバレ・ラスト意味

映画『駅馬車』(あらすじ・ネタバレ・ラスト 編)

原題 Stagecoach
製作国 アメリカ
製作年 1939
上映時間 96分
監督 ジョン・フォード
脚色 ダドリー・ニコルズ
原作 アーネスト・ヘイコックス


評価:★★★★★  5.0点



この1939年の映画は、ジョン・フォード監督の「西部劇」の古典として、その名を不動のものとしています。

しかし、現時点で、初めてこの映画を見たら、面白いという人の方が少ないかもしれません。

正直、昨今の刺激たっぷりのアクション映画を見慣れた眼からすれば、オーソドックスで地味な映画に見え、つまらないと言う声すら聞こえそうです・・・・・

しかし私は、この映画は古典としての価値と同時に、ドラマとして高いレベルにあり、キャラクターの描写、人物の出し入れ、場面転換、情感表現など、映画としての骨格、その脚本を評価した時、ここまで完成度の高い作品は現代でもお目にかかれないと思い、満点★5を付けさせて頂きました。

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<目次>
映画『駅馬車』ストーリー
映画『駅馬車』予告・出演者
映画『駅馬車』感想
映画『駅馬車』ネタバレ
映画『駅馬車』結末
映画『駅馬車』解説/ラスト意味

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映画『駅馬車』あらすじ



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アパッチ族酋長ジェロニモが襲撃する恐れがあると、騎兵隊の駐屯地に電報が入った。
ブランチャード中尉(ティム・ホルト)は、駅馬車の旅の護衛に隊を引き連れ付いた。
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アリゾナ州トントから出発する時の乗客は、町から追い出された娼婦ダラス(クレア・トレヴァー)、アルコール中毒の医者ブーン(トーマス・ミッチェル)がいた。
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町の上流階級に属し、夫の騎兵隊大尉に会いにいく、妊娠中の貴婦人ルーシー(ルイーズ・プラット)は噂を聞きダラスを蔑んでいた。
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酒場で医師ブーンと出会い、以後酒をたかられる、影の薄いウィスキー商人ピーコック(ドナルド・ミーク)も乗った。
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金を着服して逃亡を企てる銀行家ゲートウッド(バートン・チャーチル)も乗り込む。
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そしてルーシーに一目ぼれした南部名門出身の賭博師ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)が「ルーシーの護衛」として乗り込む。
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御者のバック(アンディ・ディバイン)とカーリー・ウィルコック保安官(ジョージ・バンクロフト)が加わり、合計8名で駅馬車は出発する。
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そして旅の途中で、馬が倒れたリンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)が駅馬車を止め乗り込んだ。
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保安官カーリーとリンゴは旧知の中だったが、父と兄の仇プラマー兄弟に復讐するため脱獄した罪で、彼はリンゴを逮捕した。

馬車がドライフォークに達し、騎兵隊はアパッチ族の情報が入り離れた。
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御者のバックは危険だと戻りたがるが、乗客は話し合い旅を続けると決めた。
昼食時に、リンゴは娼婦ダラスにテーブルに座れと促す。
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それを見たギャンブラーのハットフィールドは、ダラスから離れた場所にルーシーの席を用意した。
その昼食時に、ルーシーはハットフィールドが南部バージニアで南軍に属した名家だと気付いた。

駅馬車が次の停車地アパッチウェルズに着くと、ルーシーは、夫が戦闘で負傷したことを知り、ショックで倒れ産気づく。
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アル中ながら、医師ブーンが取上げる事になり、その傍らではダラスが助け無事出産した。
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その夜、リンゴはダラスに結婚を申し込み、自分のメキシコの牧場で共に暮らそうと言った。
ダラスは自分の過去を知った時、リンゴがどう思うか考えて即答できなかった。
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その翌朝、産後のルーシーの健康とアパッチの脅威を思い、進むか否か議論を始めた。
その時ダラスは、医師ブーンにリンゴとの結婚の話を相談する。
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すると、ブーンは牢に入る男を待つダラスがつらいだろう。それに、ローズウッドに着いたなら、ダラスが娼婦だと分かってしまうだろうと危惧する。すると、ダラスはローズウッドに彼を行かせないと言い、結婚の決断が間違ってないかブーンに尋ねると、ブーンは賛成した。

ダラスはリンゴに、リンゴが復讐を諦め、今すぐ自分の牧場に向かって逃げてくれるなら、プロポーズを受け入れると訴えた。その上でダラスは、ルーシーと赤ちゃんの無事を見届け、後から必ず牧場に向かうと約束した。
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リンゴはダラスと一緒になれるならと、馬に乗り込み逃走を図るが、遠くの山にアパッチ族の狼煙(のろし)が上がっているのを見て、馬を下りその場に残った。
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駅馬車の一行はアパッチの襲撃を予期し、生まれたばかりの赤ん坊も含め急ぎ出発する。しかし、その行く手の川の渡しはアパッチによって破壊されていた。

保安官カーリーは、緊急事態と見てリンゴから手錠を外し、男達は駅馬車に丸太を縛り、即席の筏にして渡河した。
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川を渡り、ローズバーグも目前となり安堵した一行の駅馬車を、谷の上からアパッチ族は見下ろしていた。
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そして、ついにアパッチの攻撃が始まる。

<襲撃シーン>
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映画『駅馬車』予告

映画『駅馬車』出演者

リンゴ・キッド(ジョン・ウェイン)/ダラス(クレア・トレヴァー)/ブーン医師(トーマス・ミッチェル)/カーリー保安官 (ジョージ・バンクロフト)/バック(アンディ・ディバイン)/ルーシー・マロリー(ルイーズ・プラット)/ハットフィールド(ジョン・キャラダイン)/ピーコック(ドナルド・ミーク)/ゲートウッド(バートン・チャーチル)/ルーク・プラマー(トム・タイラー)/騎兵隊ブランチャード中尉(ティム・ホルト)

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映画『駅馬車』感想


冒頭でも述べたように、この『駅馬車』を今見たらどう思うでしょうか・・・・・
たぶん、現在のアクション映画を見慣れた眼からすれば、のんびりして退屈な映画とすら感じるかもしれません。

しかし、現代まで作られ続けている「アクション映画の元祖」が、この『駅馬車』だとしたらどうでしょうか?
現代の駅馬車<マッド・マックス>


映画史を紐解けば、サイレント時代に隆盛を極めたのは「ドタバタ喜劇」と「西部活劇」でした。
しかし「ドタバタ喜劇」はチャップリンという天才を持ってしても、サイレント映画の終焉と共に消えて行きました。
関連レビュー:名作サイレントの生まれた理由
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そして、同じく、映画の歴史の最初から人気を博してきた「西部劇活劇」も、消え去る寸前だったのです。

つまり、「ドタバタ喜劇」同様「単純なボディアクション」主体の「活劇」は、トーキー映画となり言葉という伝達手段を行使できるようになった時、「子供だましの西部活劇」として観客から求められなくなっていたのです。

その、アメリカ国民にとっての神話「西部開拓史」を救ったのが、このジョン・フォード監督であり、サイレント時代の「子供の西部劇」を「大人の西部劇」へと変身させたのです。

この秘密は、単純な運動としてあった「アクション表現」に「人間ドラマ」を加味する事によって、「アクション=人間劇の発露」として表現の意味を永遠に書き換えることによって成し遂げたと、個人的には信じています。

この、活劇と人間ドラマに限らず、それまで確立していた表現とは違う、新たな表現を生み出すことは、個人的にはエジソンの発明に匹敵する偉業だと思います。

惜しむらくは、1939年当時の観客のように、今まで見たことのない新たな物語の登場として、この映画を見れない事です。
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現代映画に汚染された我々としては、ただ当時の興奮を想像しつつ、今見ると退屈だな〜なんて言うしかないのですが・・・・・・

しかし、それは本作品が作り出した活劇と人情話というユニークな組み合わせが、この作品以後どれほど映画のベーシックな物語としてコピーされ、刺激を書き加えられてきたかを示すものだと思うのです。
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以下の文章には

映画『駅馬車』ネタバレ

があります。
(あらすじから)
ローズウッドに駅馬車が着き、マロリー夫人は担架で運ばれながら夫は軽傷だと知らされ安堵し、ダラスの気遣いのショールに、今まで冷たくしたことを詫び、感謝の笑みを浮かべた。
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ウィスキー販売業のピーコックも、幸い命に別状は無かった。
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銀行員のゲートウッドはその町の保安官に逮捕された。
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リンゴはカーリーから決闘の時間10分をもらうと、自分が死んだら、この町はダラスに相応しくないから、メキシコの牧場に連れて行ってくれと頼んだ。
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カーリーから自分のウインチェスターライフルを受け取ると、隠し持っていた弾丸三発を装てんした。

プラマー兄弟の元に向かうリンゴはダラス共に歩むと、彼女の行き先が町外れの娼館だと悟る。
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去ろうとするダラスに、リンゴは結婚の約束を覚えているかと問いかけ、戻るから待っていろと対決の場に向かった。

ルーク・プラマー(トム・タイラー)と兄弟二人もリンゴの到着を知って、対決の準備をしていた。
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プラマー兄弟のいる酒場に入った医師ブーンは、ルーク・プラマーが散弾銃を持ち出そうとするのを、それは殺人罪だと阻止した。
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プラマー兄弟3人は路上に出る。
そこに、リンゴが現れ、お互い一歩一歩近づいた。
<決闘シーン>

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映画『駅馬車』結末

決闘に勝ったリンゴはダラスと抱き合う。
<ラストシーン>

【意訳】保安官カーリー:準備は良いかキッド。/キッド:ありがとうカーリー。(ダラスに)カーリーが俺の牧場近くの国境まで送ってくれる。さよならダラス。/ダラス:さよなら。/保安官カーリー:たぶん、少しキッドの隣に座ってきたいんじゃないか?/ダラス:お願い。(馬に石を投げ、走らせるカーリーとブーン)ブーン:まあ、これで彼等が文明に毒されるのを救えたかな/保安官カーリー:そうだな・・・ドクター。一杯おごろうか。/ブーン:一杯だけ。THE END
復讐を果たしたリンゴが出頭すると、保安官カーリーと医師ブーンは2人を新天地へと旅出させた。

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映画『駅馬車』解説

映画ラストの「西部劇神話」

この一連のラスト。
これはもう、登場人物の取りこぼしの無い修め方と言い、若い恋人達を応援する、大人達の超法規的な心遣いと言い、本当に人情ドラマの定番をしっかり押さえて完璧だと思います。
さらに、アル中で人生を誤った医師ブーンが、文明に毒されるのを救ったと言うとき、未開の地、西部の荒野「フロンティア」に入れば、そこでキッドやダラスの暗い過去が全て消え、一から希望に向かって生きられると語られているようです。
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少し詳しく言えば、冒頭町を追放されるダラスの姿は、故国で行き場を喪い、アメリカに移民してきたアメリカ国民そのものです。

そこで出会った、西部に生きる純粋無垢なキッドは「フロンティア=未開拓地」であり、そこでなら過去を消し去り、新たな人生に向け再生が出来るという、アメリカ移民の希望を象徴しているでしょう。
つまり、この駅馬車に乗り合わせた、雑多の人々は、どんな人間、どんな来歴があろうと、西部と言うフロンティアで再び生き直せると語られています。

けっきょく「西部劇」は、アメリカ合衆国という新天地の絶対的希望を謳った映画であり、だからこそ「西部劇」は「アメリカ合衆国の神話」としてその機能を果たしてきたのでした。

最も、これはアメリカに入植してきた、ヨーロッパ系の白人にのみ言えることで、土地を奪われたインディアンにとっては絶望でしかないのですが・・・・・・
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posted by ヒラヒ・S at 00:00| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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