2018年02月15日

映画『野獣死すべし』松田優作の狂気・完全再現ストーリー/あらすじ・ネタバレ・ラスト感想

映画『野獣死すべし』(あらすじ・ネタバレ・ラスト 編)

製作国 日本
製作年 1980
上映時間 119分
監督 村川透
脚本 丸山昇一
原作 大藪春彦
製作 角川春樹


評価:★★★★    4.0点



人というのは困ったもので、最初にインプットされたデーターに、良くも悪しくも引きずられる。
個人的には「野獣死すべし」の姿は、原作の小説において揺るぎなく確立していたらしい。
そのイメージを払拭するまでに、映画視聴5〜6回のリロードを必要とした。
逆に言えばそれほど、映画は原作とはかけ離れていたという事を示していただろう。

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映画『野獣死すべし』あらすじ



夜、雨が降っている。
警視庁捜査一課の刑事、岡田警部補(青木義朗)が刺殺され拳銃が奪われた。
数日後、その銃を使い秘密の賭博場で暴力団員三人が射殺され、賭金三千万円が強奪された。
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一連の事件の犯人である伊達邦彦(松田優作)は、過去に、ベトナム、アンゴラ、レバノン、ウガンダなどの戦場を渡り歩いた、戦場カメラマンだった。

彼は更なる獲物を求めて、次の犯行を銀行強盗と定め下調べを始めたが、単独での決行が困難だと悟り共犯者を探がしていた。
しかし表向き伊達邦彦は、翻訳家として収入を得て、文学とクラッシック音楽を趣味とした物静かな生活を送っていた。
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その頃、岡田警部補の部下だった柏木(室田日出男)は、執念深く事件を追い、伊達こそ犯人だと確信し尾行を始める。

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一方の伊達は、クラッシックコンサート公演会場で、隣に座った華田令子(小林麻美)と言葉を交わし親しくなる。


また大学の同窓会に出席した伊達は、その開場でウェイターをしている真田(鹿賀丈史)と出会う。
飢えたようなその姿を見て、彼を共犯者にすると決め近づいた。
<伊達と真田の会話>

伊達は真田に計画を話し、更に伊達が殺人を犯す姿を真田に見せた。
真田は伊達におびえながらも、持ちかけられた銀行強盗計画に参加することを決めた。
計画達成に近づいた伊達は、いつものようにコンサート会場に姿を見せ、華田玲子と再び顔を合わせた。
伊達は彼女を家まで送り去ろうとした時、その伊達の手を華田が握り切ない顔で彼を見つめた。
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しかし伊達は、それに応えずタクシーを出発させた。

伊達と共に真田は伊豆の海べりの別荘で、拳銃の射撃練習を開始し、強盗計画への準備を進めた。
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そして伊達は、練習の総仕上げとして、真田に実際の殺人を課した。

真田は伊達の言葉に追い詰められ、逡巡しながらも自らの恋人・雪絵(根岸季衣)を、初めての標的として射殺した。

こうして、ついに銀行襲撃の時は来た・・・・・・・・・

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映画『野獣死すべし』予告

映画『野獣死すべし』出演者

松田優作(伊達邦彦)/小林麻美(華田令子)/室田日出男(柏木秀行)/根岸季衣(原雪絵)/風間杜夫(乃木)/岩城滉一(結城)/泉谷しげる(小林)/前野曜子(沙羅)/佐藤慶(遠藤)/青木義朗(岡田)/鹿賀丈史(真田徹夫)/山西道広(黒岩)/安岡力也(峰原)/トビー門口(奥津)/井上博一(立花)/吉岡ひとみ(石島)/江角英(梅津)/岡本麗(エリカ)/草薙幸二郎(氷友)/関川慎二(白井)/加藤大樹(平井)/阿藤海(東条)/角川春樹(警官)/清水宏(銀行ガードマン)


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以降の文章には

映画『野獣死すべし』ネタバレ

が有ります。ご注意下さい。


銀行襲撃の直前、伊達は銀行に入っていく華田玲子を見た。
それでも、伊達は顔をマスクで覆うと、真田と予定通り銀行に踏み込み、銀行員や警備員を射殺し現金を奪う。
そんな伊達から、華田は眼を離せなかった。
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伊達も彼女の視線に気付くと、ゆっくりと変装用のマスクを外し、素顔をさらした。
<華田玲子射殺シーン>
華田の顔が切なく歪み、「伊達さん」と呼びかけた。
伊達はその胸に向け、銃弾を送り込んだ。

銀行を後にした伊達と真田は、電車に乗り逃亡を図る。
しかし刑事の柏木はそんな二人を追い、列車内で伊達と対峙するが、逆に銃を奪われ窮地に陥る。
そんな柏木に伊達は、静かな狂気を秘めた声で「リップ・バン・ウィンクル」の話を聞かせた。
<リップ・バン・ウインクル>

そして、リップ・バン・ウインクルが飲んだ酒の名前を柏木に問われ、「X・Y・Z=これで終わりって酒だ」といい、彼に向けて発砲した。
さらに倒れた柏木を蹴りながら、伊達は戦場の幻影を見ていた。
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伊達は戦闘服に着替え、機関銃を抱えた。

柏木を列車に残して、伊達と真田は列車から夜の大地に飛び降りた。

たどり着いた廃墟には、若い男女が体を交わしていた。
それを見た伊達は、真田に若者を殺すように命じ、彼も憑かれたように銃を発射し殴り続けた。
さらに真田は、残された娘に襲い掛かり、犯し始めた。
それを見る伊達は興奮し、戦場での出来事を語り続け、カメラのシャッターを押し続ける。
そして、伊達は真田をも射殺した。
天を指差した伊達に、一条の光が差し込んだ。
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そして伊達は闇の中に消えた・・・・・

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映画『野獣死すべし』ラスト・シーン


伊達はコンサート会場で一人目覚めた。
無人のコンサートホールで、伊達は天を指差し奇声を発した。

そして、会場から出て階段を降りていく伊達は、突然腹を押さえ崩れ落ちる。
陽炎の中に、柏木刑事の姿が揺れた。
更に伊達は、背中に被弾し、体を反り返らせ崩れた・・・・・・


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映画『野獣死すべし』結末感想

この映画の終盤、銀行強盗の後の一連のシークエンスは、正直、意味不明だ。
ただ明らかなのは、ここに現われた戦争によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)に犯された、伊達の狂気こそこの映画で描きたかった対象であるだろう。
それは同時に、松田優作が演じたかった「狂気の演技」でもあるはずだ。
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つまり、この映画は松田優作と言う俳優が、自分の最も演じたい役を演じたという点で、松田優作のための映画だと個人的には感じた。
そして、実は、しばしば作り手側の「主観的=独善的」な想いが強すぎた作品は、ディレクターズカットがそうであるように、思いが過剰で説明過多だったり、必要以上にエモーショナルに走り過ぎ、作品としての完成度を落とす原因になると個人的には感じる。
しかし、そんな松田優作の個人的な趣味嗜好を表出した自己満足的作品でありながら、驚くべきことに、この映画は間違いなく成功している。
そしてその成功の原因は、松田優作という役者がそれまで仮面として被ってきた、スター性やヒーロー像、そしてユーモアーを封じ込め、ただひたすら狂気に向かったからだと信じている。

その、松田優作という役者が持つ「異質な存在感」の演技、その根源に「狂気」にも似た強い情念が、生来の性向としてあると思えるからだ。

そういう意味で、この映画は最も松田優作の演技の純度が高い作品だと思える。



posted by ヒラヒ・S at 20:10| Comment(0) | 日本映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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