2017年12月12日

映画『シービスケット』伝説のサラブレッドの感動実話/感想・ネタバレ・あらすじ・ラスト・解説

時代を担いしアイドル

原題 Seabiscuit
製作国 アメリカ
製作年 2003
上映時間 141分
監督 ゲイリー・ロス
脚色 ゲイリー・ロス
原作 ローラ・ヒレンブランド



評価:★★★☆  3.5点



ある時代が必然的に欲する希望というものが、現実の姿を持って現れる事があります。
それを人々は「アイドル」と呼ぶのではないでしょうか・・・・・・
この映画のサラブレッド「シービスケット」も、まったく同じ作用を、大恐慌の打ちひしがれたアメリカ国民に対して及ぼしたように思いました。
この映画は、惜しくも受賞はならなかったものの、第76回アカデミー賞では作品賞を初め7部門にノミネートされた評価の高い作品です。

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映画『シービスケット』予告


映画『シービスケット』出演者

レッド・ポラード(トビー・マグワイア)/チャールズ・スチュワート・ハワード(ジェフ・ブリッジス)/トム・スミス(クリス・クーパー)/マーセラ・ハワード(エリザベス・バンクス)/ジョージ・"アイスマン"・ウルフ(ゲイリー・スティーヴンス)/"ティックトック"マクグローリン(ウィリアム・H・メイシー)/サム(カール・M・クレイグ)/アニー・ハワード(ヴァレリー・マハフェイ)/ミスター・ポラード(ミシェル・O・ネイル)/ミセス・ポラード(アニー・コーリー)


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映画『シービスケット』あらすじ



1910年代初頭のアメリカ。
チャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)は時代の波に乗り自動車ディーラーとして、西海岸で成功した。sea-left.png
しかしハワードは、息子フランキーを若くして自動車事故で失い、妻もその死で精神を病み彼のもとを去って行った。


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同じ頃、馬の調教にかけては熟練の腕を持つカウボーイ、トム・スミス(クリス・クーパー)は、モータリゼーションによって馬が車にとって代わられるなかで、生きる為に西部劇の馬の調教師として旅をしていた。


また一方、カナダの16歳の少年ジョニー・ポラードは、大恐慌により無一文となった家族の夢を背負って、騎手としての才能を武器に、草競馬の世界に入っていった。
赤毛のポラードは愛称"レッド"と呼ばれ、競馬騎手として闘い始めた。
しかし6年が経過し、レッド(トビー・マグアイア)は地方競馬のレースに出場し続けていたが、賞金はわずかでボクシングの試合でアルバイト代を稼ぐ始末だった。
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時は流れ、1933年メキシコのティファナ競馬場は、禁酒法下の米国から歓楽を求めて大勢の男達が押しかけていた。
sea-mr&mrs.jpgそこには、離婚したハワードもいた。
しかし彼は、そこでマーセラ(エリザベス・バンクス)という美女と、運命的に出会い、電撃的に結婚した。
馬の好きなマーセラと暮らすうち、ハワードは競馬の世界に興味を持つようになる。

そんなある日、ハワードは馬を治療しているスミスに出会う。
スミスの馬に接する様子を見て、彼は馬の調教師としてスミスを雇い入れた。

そして二人は数ヵ月後、ニューヨークのサラトガ競馬場で、シービスケットと名付けられた暴れ馬に出会った。
スミスは気性の荒いその馬に可能性を感じ、ハワードにシービスケットの購入を求めた。
しかしスミスは、シービスケットが暴れるのを抑えられる騎手がおらず、調教が出来なかった。
そんな時スミスは、競馬場で喧嘩していた騎手レッドを発見し、スミスは似た者同士と見て相性を確かめた。
もくろみ通り、シービスケットはレッドの騎乗を許した。
こうして、3人の男と一頭の小柄なサラブレットが運命で結ばれた。
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シービスケットの初戦は、レッドの勇み足で敗退した。
しかし、レッドがレース展開を作戦どおり運ぶようになってから、シービスケットの連勝が始まった。
最初の勝利

【意訳】そうだ。弾んでるぞ。大丈夫だ相棒。俺達は今いい感じだ。いいぞ相棒。俺達は良い感じだ。まったく心配ない。時間はたっぷりあるぞ相棒。そうだ。弾んでる。いいぞ、気楽に、その調子だ相棒。その調子。何を考えてる相棒?準備はいいか?俺とお前。さあ行くぞ相棒!行こう!

シービスケットの勝利は、いつしか大恐慌の苦難に耐える、アメリカ庶民の希望の光となった。
更にハワードは、史上最高額の賞金10万ドルのレースを決行するが、騎手レッドはボクシング時代の後遺症で右目が失明しており、その死角を突かれ敗北を喫する。

ハワードは、再起を期して最強の敵との対決を企画した。
その頃アメリカ競馬史上4頭目の三冠馬ウォーアドミラルは、血統といい実績といい申し分なく、東部の帝王として君臨していた。
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人々がその対決に期待を募らせる中、ハワーズが呼びかけても、ウォーアドミラルのオーナーである大富豪のリドルは、その一対一の対決(マッチレース)に応じなかった。

ハワーズは諦めず、シービスケットを強敵と連戦させ、全米をレース行脚し勝ち続けた。
そしてレース後の新聞やラジオのインタビューに答えて、ウォーアドミラルを挑発し続ける。
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ついに世間の声に抗し切れず、ウォーアドミラルの馬主リドルは、シービスケットの挑戦に応じると宣言した。

しかし、その時レッドに思わぬ運命が降りかかる・・・・・・・・

(ページ最下部にネタバレとラストがあります)

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映画『シービスケット』感想



ある時代が、必然的に欲する希望を体現する者を「アイドル」と呼ぶのだとすれば、この映画のシービスケットこそ、それではないでしょうか・・・・・・
 
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例えば、敗戦後の日本の希望は「力道山」でした。

アメリカの巨大なプロレスラーを倒す姿に、日本国民は自らの夢と希望を仮託し、力道山の活躍によって焼け野原を再建する活力を得たのです。

この映画のサラブレッド「シービスケット」も、まったく同じ作用を、大恐慌の打ちひしがれたアメリカ国民に対して及ぼしたように思いました。

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この馬の生い立ちや、倒れてもまた立ち上がる姿が、失業中の今日の食事もままならないアメリカ大衆達の、それでも前に進むのだという「魂」を、そのまま現していたからなのでしょう。

この大衆、時代が持つ集合的欲望が一つの形に収斂していく、その欲望を仮託された「シービスケット」の姿とは、映画における「スター」と同じ構造なのではないでしょうか。

そう考えたとき、この大恐慌の時代にマスメディアが発達したことと「アイドルの誕生」が無縁ではないように思えます。

新聞、ラジオ、そしてニュース映画が大衆に届く情報メディアとして成立したことで、名も無き庶民が自らの希望を托せる対象を、見いだし得る条件が整ったといえるでしょう。

そしてまた、エスタブリッシュメント=上流階級の欲望が暴走した果てに「大恐慌」が起こったと考えれば、金持ちの馬に「シービスケット」が勝つというのはもはや、民衆の復讐と呼ぶべきでしょう。


この映画はその「スター=シービスケット」の疾走する姿の燦然たる美しさによって、人々の夢が結実していく様子が感動的に描かれていると思います。

アメリカ庶民が大恐慌からいかに立ち直ったかが、丹念な時代考証とキャスティングによって感動的に表されていると思いました。

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映画『シービスケット』解説

大恐慌時代


この映画は1930年代の「大恐慌時代」を背景にした映画です。
実を言えば、その大恐慌の重苦しさというのは、その1930年代に撮られた映画にこそ滲み出ているように感じます。
下の二本は、決して社会派の映画ではなく、純然たる娯楽作でありながら現実の苦味が感じられ、本当に映画とは時代を反映する鏡だと思います。

関連レビュー:大恐慌時代製作の映画
1934年『或る夜の出来事』
世界初のラブコメ映画
ローマの休日の原型

関連レビュー:大恐慌時代製作の映画
1932年『グランドホテル』
世界初のオールスター映画
脚本の革新「グランドホテル様式」とは?


また、この『シービスケット』同様、大恐慌時代を背景にした映画があります。
関連レビュー:大恐慌時代を背景とした映画
『ペーパームーン』
ライアン・オニールとテータム・オニールの実の親子競演
アカデミー助演女優賞受賞作




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以下にはネタバレが含まれます

映画『シービスケット』解説

伝説の名馬シービスケット

シービスケット(Seabiscuit、1933年 - 1947年)は、アメリカ合衆国で生産・調教されたサラブレッドの競走馬である。1930年代のアメリカ競馬で競走生活を送っていた馬で、初期は不遇を託つものの、競走生活の終盤にはマッチレースで三冠馬を破るなどの活躍を見せた。のちの1958年にアメリカ競馬殿堂に加えられた。(wikipediaより)
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(実在モデル右から:ジョニー“レッド”・ポラード/ハワード夫妻/トム・スミス/ジョージ“アイスマン”・ウルフ)

映画『シービスケット』解説

世紀の一騎打ち

この映画のシービスケットとウォーアドミラルの「世紀の一戦」も、実話だけに映像が残っています。
<シービスケットVSウォーアドミラル>


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以降の文章に

映画『シービスケット』ネタバレあらすじ

があります。

(あらすじから)
世紀の一戦と言われた、シービスケットとウォーアドミラルのマッチレースが刻々と近づいて来る。
シービスケット陣営は秘策を練り、対戦準備を進めた。
しかし、そんな時、レッドが他の馬の調教中に落馬し、骨折し騎手としては再起不能だと宣告されてしまう。
レッドはマッチレースで勝ってほしいと、騎手仲間のジョージ・アイスマン・ウルフ(ゲイリー・スティーヴンス)を推薦した。
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そしていよいよ、1938年11月1日、ピムリコ競馬場でレースの火ぶたは切って落とされた。
満場の観客、ラジオの前で、人々が固唾を飲む中、見事にシービスケットが勝利を収めた。

しかしその後も、レースへと参戦し続けたシービスケットは、ついにレース中に右前脚を負傷した。
シービスケットも再起不能と診断されたが、安楽死を与えるのが忍び難いハワーズは、シービスケットを牧場に戻す事にした。
牧場では騎手ジョニーが待っていた。共に傷を負ったジョニーとシービスケットは少しづつリハビリを行う。
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そして奇跡的に、シービスケットは再びレースに復帰できるほどの回復を見せる。

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映画『シービスケット』ラスト・シーン


1940年、シービスケットの復帰戦が始まる。
その騎手として、足を引きずって歩いているジョニーが、ギブスを嵌めて乗ると言い張る。
周囲は危ぶむものの、本人の強い意志に打たれ、ハワードも認めた。
【意訳】(レッド・ナレーション)全ての人々が、我々が故障した馬を、治癒させたと思っていた。しかし違う。シービスケットが我々を再生したのだ。我々一人一人を。私は思う、ある意味、我々はお互いに治癒しあったのだ。

そしてシービスケットとジョニーは、2人の復帰戦で勝利を収めた。


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posted by ヒラヒ・S at 17:20| Comment(0) | アメリカ映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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